「……クロード。大丈夫なの?……とんでもない金額になってしまうのではない?」

 確かに彼は浮かれているみたいだけど、平民にとってみれば、とんでもない額を請求されることになる。

「俺を誰だと思っているの? 世界救済の報酬以外にも、さっきみたいな魔物退治で儲けているから、心配無用だから……部屋まで送ろう。シュゼット、部屋番号、何番?」

 機嫌の良さそうににこにこしたクロードとは対象的に、私は釈然としない思いだった。

 クロードのことは、好き。それは、否定しない。

 とんでもない事をこうして明かされたけれど、全く嫌悪感はない。

 今ではあの頃とだいぶ変わってしまっているけど、多分それでも、変わらずに好きだと思う。

 けど、忘れてしまっていた昔の約束を律儀に守り続けてくれているクロードに、素直にありがとうと感謝するには、今の私はあまりにも余計な経験を積み過ぎたのかもしれない。


◇◆◇


「シュゼットが頼まれている……その届け物って、どんな物なの?」

 私を船室まで送り届けてくれたクロードは、私の部屋の中に当たり前のような顔で入って、物珍しそうに内部を見回していた。