「けどっ……けど、クロード。ここで私たちが会ったのは、ただ偶然でしょう?」

「うん……そうだね。乗り合わせたのは偶然だけど、シュゼットを見つけられて良かった。探していたけど、見つからなくて困ってていた。このままだと、俺は一生結婚できないところだったから」

「本当に……クロードは私と、結婚するつもりなの……?」

 信じられない。

 理由はわかったけど、幼い頃の勝手な約束を……彼は何年も、守っていてくれているなんて。

「あれだけ、自分一人だけだと言い聞かせ、好きにならせておいて……あっけなく目の前から居なくなられた身にもなってみてよ。シュゼット。俺は君に別れの言葉も言えなかった」

 父親の事業が突然破産することになり、慌ただしく親戚が私を迎えに来て、手を引かれて連れ出される時、何もかもを失った。