この世界にある飛空技術の粋を集めたような飛空艇へ乗り込み、私は仕事で赴いたリベルカ王国より、現在居住するノディウ王国に戻るために移動していた。

 本来であれば、この二国間の移動は船や馬車を乗り継いで、二月は掛かろうかと長い長い道のり。

 長い距離と時間も空を飛ぶ飛空艇に乗ってしまえば、それを一週間に短縮してしまえる。

 それに、巨大な空飛ぶ鉄の塊である飛行艇の中には、まるで小さな村を詰め込んでいるかのように、各商業施設が揃っていた。

 いわば、常に移動しながらでも、乗客たちは快適に普通の生活をすることが出来るのだ。

 飛空艇が出来る前には考えられない、まるで……夢物話のような話が、現実になった。

 そんなこんなで大人気な飛空艇の切符は、一日にひと便しか運行せず非常に数少なく価格が高く、貴族や富裕層しか買えない。

 よって、そんな船内は、とても治安が良い。

 運営会社側も貴族や富裕層の安全について配慮していて、屈強そうな見た目の警備兵だって、そこらじゅうに配置されている。