「……そうなのね。この飛空艇に乗っている全員が、生きるか死ぬかの瀬戸際だったもの。偶然だけれど、クロードが乗っていてくれて良かったわ」

 謎の呼び出し放送が、何故ああなってしまったのかを理解できて、私はほっと息をついた。

「……うん。さっき俺は船室でのんびり昼寝してて、魔物の接近にまだ気が付かなかったから、呼び出して貰って良かったよ」

 もし、あの魔物を退治出来るクロードが乗っていると運営会社が確実にわかっていたとしても、彼があの時に部屋に居るか何をしているかはわからない。

 だから、あんな船内放送で呼び出すしかなかったんだ……。

「私はロビーでお茶を飲んでいたけど、魔物がこちらへ向かって来るのが見えて……とっても怖かったわ。けど、クロードは本当に強くて、魔物を倒してしまうのはすぐだったわね。すっごく頼もしかったわ」

 クロードは船員以外立ち入り出来ない甲板から、遠距離攻撃を使って魔物を倒していた。

 その場で彼の活躍の目撃者となった私も、勇者の華麗なる戦いぶりを、皆に伝えなくては……。