丸い頬を持つ素晴らしく可愛い天使が、こんなにも立派な成人男性になってしまうなんて、誰も想像つかなかっただろう。

「……子ども扱いするのは、やめてくれ。確かに年下とは言え、シュゼットと俺は一つしか変わらない」

 拗ねたような口調で言ったクロードがまた可愛らしく思えて、私は微笑んだ。

「まあ。ごめんなさい。そうね。貴方ももう、十七歳なのね。名前は同じだったけど……私はあの世界救済の時に新聞を見ていなかったの。まさか、クロードが勇者様と関連していると思わなかったわ。とても、久しぶりね。ちゃんとした別れも言えなくて……」

「うん。別れの時、俺たちは……子どもだったから。君も幼かった。無理もない」

「そうね。今思うと、十年以上前だものっ……っ」

 私は彼と別れてからの自分のこれまでを思い出すと、込み上げてくるものがあって言葉を詰まらせてしまった。

 ……いけない。ここで無関係の彼に同情を買うつもりなんて、全くないのに。