王族が肝いりで関税を掛けている高額な宝石の密輸に、敢えて手を出していたのだ。貴族剥奪は免れず、何もかもを失うだろう。

 私たちがここで全てを失うことになる、ローレンス侯爵を責め立てるまでもない。

 ここに居る全員が、わかっているもの……悪事に手を染めた彼の末路を。


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「いやあ、これは、すごいことになりましたね!」

 新聞を手にした翼猫ギャビンは興奮した様子で飛空挺のロビーでくつろぐ私とクロードにそう言い、紫色の翼を羽ばたかせた。

 色々と事騎士団からの情聴取も終わった私たちは、必要な荷物を纏めてリベルカ王国へ帰るところだ。

 私は自分がこれまでにしたことを、何もかも正直に洗いざらい話した。そして、疑問を持ちつつも、特別な仕事として、あれをしていたことも。

 けれど、騎士団側から見れば、私がただ利用されていたことは、一目瞭然だったらしい。

 ローレンス侯爵の日記にも私のことを利用しているとはっきり書かれてあったらしいし、密輸の片棒を担がされている割には、あまりにも生活が質素過ぎると言われた。