頼りにしていた雇われた人たちが来るまでの単なる時間稼ぎだったのかもしれない。よくよく考えればローレンス侯爵は戦闘なんて一度もしたことがなさそうだもの。

 ……だから、クロードはあんなにも余裕を持っていたのね。

 私の命には何の危険はないと思えば、あんな遊びにも思える条件付けにも納得するわ。

「おい……シュゼットを利用して、殺そうとしたんだろう? お前の雇った男たちがあまりに怪しすぎるので、騎士団がここに来るのは時間の問題なんだよなあ。言い残したいことはあるか?」

 クロードはまるで子猫を持ち上げているように易々とローレンス侯爵を持ち上げていて、もう逃げられないと悟っているのか顔は青ざめぶるぶると震えていた。

「……クロード。もう」

 私はなんだか、可哀想に思えた。これから、ローレンス侯爵は今までの罪を、すべて精算することになる。

「約束だよ? シュゼット」

 私の言葉を聞いてクロードはローレンス侯爵を床に落とした。彼は観念したのかうずくまり、身を丸くしていた。