「君を誘拐したあいつらは、頼んだ通りにシュゼットから奪った宝石を私に売りに来たから全員消したんだよ。先に絶対に逃げられないと聞いていたのに、シュゼットは帰って来ているじゃないか。どこからどう見ても可愛らしい貴族令嬢なんだから、殺しても良いし売っても良いと言っておいたんだけどねえ」

 にこやかな黒い目の奥にある、底知れぬ闇。

 どうして私はこれに気が付かず生きて来たのだろうと、ゾッとして背筋に冷たいものが走った。