私とクロードはノディウ王国へと戻り、引っ越しの準備をすることにした。
クロードには帰り道の途中で、住んで居る集合住宅の大家へと解約手続きを頼んだ。出来るだけ一刻も早く、この国から出て行きたかったからだ。
私は階段を駆け上がり、部屋へと戻って荷物の準備をする。
どうしても持って行きたいものだけを選別して、クロードの空間収納魔法ですぐに出て行くつもりだった。
部屋の中はいつも通り、長く窓を開けていないために篭もった空気だった。
「ふう……」
私は一旦荷物を置いて、貴族令嬢のようなドレスを着替えようと思った。
……けれど、クロードの話によると、私が家出したトレイメイン伯爵家は厳しい金銭難を切り抜け既に復興しているらしい。
だから、私は今でも一応……トレイメイン伯爵令嬢シュゼット。ということになるのかもしれない。
ふとその時、テーブルの上に目をやれば、そこには一通の手紙があった。
私がここを出て行く時には置いていなかったし、もしかしたら、追い掛けて来たクロードがすれ違った時用に私宛に置いて行ってくれた手紙なのかもしれない。
何気なく手紙を持ち上げ、その宛名を見て愕然とした。
『リズ・キングレー』……私があの、特別な仕事の時に使っていた偽名だった。
慌てて手紙を開く。封筒には封がなく、まるで、誰かが手紙を読んだ後のような……。
クロードには帰り道の途中で、住んで居る集合住宅の大家へと解約手続きを頼んだ。出来るだけ一刻も早く、この国から出て行きたかったからだ。
私は階段を駆け上がり、部屋へと戻って荷物の準備をする。
どうしても持って行きたいものだけを選別して、クロードの空間収納魔法ですぐに出て行くつもりだった。
部屋の中はいつも通り、長く窓を開けていないために篭もった空気だった。
「ふう……」
私は一旦荷物を置いて、貴族令嬢のようなドレスを着替えようと思った。
……けれど、クロードの話によると、私が家出したトレイメイン伯爵家は厳しい金銭難を切り抜け既に復興しているらしい。
だから、私は今でも一応……トレイメイン伯爵令嬢シュゼット。ということになるのかもしれない。
ふとその時、テーブルの上に目をやれば、そこには一通の手紙があった。
私がここを出て行く時には置いていなかったし、もしかしたら、追い掛けて来たクロードがすれ違った時用に私宛に置いて行ってくれた手紙なのかもしれない。
何気なく手紙を持ち上げ、その宛名を見て愕然とした。
『リズ・キングレー』……私があの、特別な仕事の時に使っていた偽名だった。
慌てて手紙を開く。封筒には封がなく、まるで、誰かが手紙を読んだ後のような……。



