「俺はさっき言った通り、シュゼットの言葉を支持するよ。確かにそうだ。あまりにも色々なことが起こりすぎた。今すぐには、未来後悔しない選択が出来るとは思えない……時間を置こう」

「うん……退職の届けは済んでいるから、荷物を持って、一度ノディウ王国を離れましょう。私が無事だとわかれば、ローレンス侯爵に何をされるかわからないもの」

 彼は私の言葉に頷いた。出来れば後任への引き継ぎもちゃんとしたかったけれど、これは非常事態だった。

 ……ローレンス侯爵を信じていた。私を救ってくれた人だったからだ。けれど、それは宝石の密輸を私にさせるためだっただけだ。今はそれがわかってしまった。

 私はあの彼のことを、一体、どうしたいんだろう。