クロードが剣を薙いだのは、二回ほど。それだけで、重い音をさせて巨大な影は倒れてしまった。

 彼のことは勇者だと理解していた。だって、飛空挺での魔物退治も見事なものだったし……けれど、こうして戦っている姿を目の当たりにすると、本当に凄い。

「クロード。どうして、そんなに強いの?」

 私はその時、素直に思ったことを聞いた。

 凄まじいくらいの強さを持つ、勇者クロード。

 彼が大いなる素質を与えられた上に、強くなるための修行を重ねたとしても、それだけでは何か追いつかないように思えるのだ。

「なんだろう……俺は負けると、思ったことがない。これかな。絶対、自分が勝つと思ってるから? ……うん。多分、シュゼットの聞きたいことへの答えなら、それだな」

「絶対、自分が勝つと思って居るから……なのね」

 そこで私は、なんとなく彼の言い分を理解をした。

 クロードはどんな敵を前にしても、自分は勝てると確信しているから、負けないんだわ。

 たとえどれほど劣勢になっても、本人が絶対に勝てると思って居るのなら、どこからか勝利の鍵を見付けることだって、可能なはずよ。

 だから、勇者クロードはパーティーを全員追放したって、一人で魔王も倒せたんだわ。