目の前にあるのは、クロードの整った容貌だった。こうして間近で見ると、天使のように愛らしかった時の面影がある。

 幼い頃にあれだけ可愛かったのだから、男性として成長すれば素敵な人になるはずよね。

 不意に唇に熱を感じて、私は驚いて彼の身体を押しのけた。

 さっ……さっき、クロード私とキスしたんだけど!!!

「あ。ごめん。そういうことなのかと思ったんだけど」

「違います! だって、そういうのは……その、もう少し時間が経ってからにしましょう」

 だって、クロードが私をずっと好きで居てくれたのは知っている。それって、彼の自由意志に基づいているか不安なのだ。

「どうして。俺のことは……もう好きじゃないの?」

 ここまで来て何を言い出すのかと不思議そうに言ったクロードに、私はムッとして彼を睨み付けた。

「好きだよ! 好きだけど、私だけ好きでも仕方ないでしょう! クロードは約束を守り続けていてくれているだけなのは、私だって知っているもの」

「好きだよ」

 クロードはさらりと言ったけど、すごく嘘くさい。

「うそ」

「嘘じゃないよ。俺は嘘つけないから」

「……そうだった」