どこまでも続くような真っ暗闇の中で、なお黒を増す漆黒とも呼べる穴が私の目の前に唐突に開いた。

「え?」

「見える? その穴を通り抜けるんだ。シュゼットが自ら出て来る方が、君に危険がない」

 けれど、何も見えないこの穴に入るって、とても勇気が要る。だって、自分がどうなってしまうか、まったく想像もつかないもの。

 未知への恐怖。ここから早く出たいとは思うけれど、なかなか一歩が踏み出せない。

「えっと……これって、どうなるの?」

「今、そこは俺の居る位置から見て、高所にある。無理に破ればシュゼットが怪我をしてしまうから、そこから出て貰う方が一番手っ取り早いんだ」

「こっ……高所ってどのくらい?」