間抜けにも私はクロードに手を繋いでもらって、元の位置に戻ることになった。

 なんて、恥ずかしい……。

「ごめんごめん。あまりにも可愛くて変なことを言ってしまったけど、いくらでも待つよ。シュゼットの気持ちが落ち着くまで」

「私……クロードのことが好き」

 いくらでも待つと言ってくれたクロードに対し、私の唇からはそんな言葉がこぼれていた。

「うん。俺も好きだよ。シュゼットしか好きじゃない」

 真剣な眼差し……そうだ。私は彼のことがすごく好きだから、テレーズ姫のことが誰だか気になってしまっていた。

「あの……私、家出してから一人で生きて来て、誰かに頼ることは抵抗があった。けど、クロードのことを少しずつ頼るようにする」

「嬉しいよ。シュゼット。俺はそれで良いよ」

 そう言ったクロードと見つめ合い、私たちは長い時間互いの心を探っていたように思う。

 私はクロードのことが好き。彼も好きだと言ってくれる。

 これは、両想い。だから、彼を拒む理由なんて、ある訳ない。

 ……私がノディウ王国ローランス伯爵邸で働いていた理由は、一人でも生きて行くためだった。