クロードはさも当然のようなことを言ったけれど、お姫様は国で一番と言えるほどに周囲から大事にされて育って来たはずだし、そうなってしまうのかもしれない。

「そっか……それは、確かにそうだよね」

「そうそう。自分を嫌いな人は、自分のことを嫌いな人を選ぶようにね……自分を好きって良い事だよね。自分の幸せ最優先で、常に動くようになるしさ。俺はそれは良いと思う。それって、自分勝手でもなんでもないよ」

「なんだか……誤解してて、恥ずかしい」

 私は両手で顔を覆った。ただ二人が会っているのを見ただけで、勝手に勘違いして、良くわからないやきもちを妬いていたことになる。

「どうして、可愛かったよ。シュゼットは、俺のこと好きなんだなーって」

「そんな!」

 私が顔を上げると、思ったより近くにクロードの顔があった。

「違うの?」

「私。用があるから!」

 私はその場から慌てて立ち上がり、とにかくすぐに扉から出ることにした。

 そして、扉の前で財布も何も持っていないことに気が付く。

「シュゼット。ごめん。揶揄った。こっちにおいでよ」