それだけ、クロードのことを好きだということでしょう?

「いや、テレーズを魔王から助けたから。王様から嫁にやるとは言われたけれど、丁重に断ったんだ。俺はシュゼットしか好きになれないから」

「……え?」

「勇者の性質上、嘘がつけないから、シュゼットしか好きになれないってちゃんと説明したんだけど、それでも良いって諦めてくれなくて……勇者と助けられた姫って、そのまま結婚することが多いらしいんだ」

「お姫様が諦めてくれないの?」

「ううん。王様が。俺と結婚することを望んでいるから、一応はああして俺に会いに来るんだよね。努力義務は果たしたって父親に言いたいんだよ。大変だね。お姫様も」

 クロードはテレーズ姫のことをなんとも思って居ない……それは、そうよね。クロードは私のことが好き……だし。

「……お姫様は、クロードのことを好きではないの?」

 私の質問を聞いて、次なるフルーツサンドに手を付けようとしていたクロードは嫌そうに顔を顰めた。

「あの人は、俺のこと好きなわけないよ。テレーズは、自分が一番好きなんだ。そんな人が自分を好きでない男を、好きになるはずがないよ」