けれど……こうして見てみると、今の私たちは、あまりにも身分が違い過ぎる。

 成長して大人っぽい姿を見せる勇者クロード・レムシャイトは、私が以前住んでいた邸の使用人の息子。

 幼馴染で一つ年下のとっても可愛い男の子だった。

 クロードのことは可愛くてお気に入りで、私はどちらの両親に困った顔をされても、どこに行くにも一緒で連れ回した記憶はある。

 今思うと典型的でわがままな、貴族の娘だった。

 けれど、そんな私の要求にクロードはいつもにこにこ笑顔を浮かべ、聞いてくれていたような気がする。

 あの頃、男女の違いなんてわからないほどに、私たちはいたいけな子どもだった。

 今の私たちは立場が、逆になってしまった。何でも持っている側と、何も持ってない側。真逆の立場。

 私側にはいろいろとやんごとない事情があったけれど、幼馴染みのクロードが、あんな風に立派になってくれて、それ自体はすごく嬉しい!

 幼いクロードは、まるで天使のように可愛かったけど、今は本当に格好良くて背が高くて……まるで、芸術的な絵画から抜け出たような高貴さを持つ美形の男性になっていた。