クロードはすっかり朝になってから、寝袋の中で目を覚ました。

「……わ」

 狭い部屋の中にある机の上に、フルーツサンドなどお祝い用のものが揃っていた。

「おはよう。クロード。お誕生日おめでとう」

「シュゼット……今日、誕生日だった? 忘れてた」

 やっぱり忘れていたみたい。これまでろくにお祝いもしていないのなら、当然のことなのかしら。

「どうぞ。座って。せっかく作ったから」

「……これって、シュゼットが全部作ったの?」

「あ……あの、ギャビンに手伝ってもらったわ」

 それを聞いた時に、クロードは片眉を上げて笑った。もしかしたら、魔法の粉で眠らせたことを察したのかもしれない。

「それで、俺が起きなかった訳だ……なるほどね」

「ごめんなさい」

 彼を眠らせて驚かせたかったことは事実だけど、クロードの意に反していることをしてしまった。

「どうして。別に良いよ。俺がこれを好きだったことを、覚えていたんだね。シュゼット」

 クロードは寝癖のついた髪のままで、フルーツサンドをひとつ取って大きな口でかぶりついて食べ始めた。

「どう?」

「美味しい! ありがとう。シュゼット。久しぶりに食べたよ」