彼の持つふにふにの肉球で出来そうな作業をお願いすれば、ギャビンは軽く頷いた。

「良いですよ。果物も切りましょうか?」

「……出来るの?」

「出来ますよ! もしかして、シュゼット、僕が何も出来ないと勘違いして居ないです?」

 いぶかしげに聞いた私に、ギャビンはぷんぷん怒った仕草で洗い桶に手を付けた。

 そうすると自然と渦を巻いて果物が水の中をまわる。そして、蛇口から出て居る水に勝手に飛び込んでは、水切り用の金属製の籠へとうつった。

「シュゼット! 時間がないんですよね? 急いでください!」

「わ! わかった」

 ギャビンが果物をどうするんだろうと彼に目を奪われていた私は、急げと怒られてとりあえず生クリームを泡立てることにした。

 たっぷりとある白い生クリームを角が立つまで混ぜて、砂糖を入れてまた混ぜた。

 生クリームをパンに塗り、そして、どうやって切ったのかわからないくらいに綺麗に切れている果物を載せた。そして、反対側をパンで押さえてを繰り返した。

「ふーっ……なんとかなったわね……」