今思うとあれは貴族だけしか食べられないような贅沢品だったので、彼にとってみれば珍しい食べ物だったのかもしれないと思う。

 私が開いた籠の中に詰められたフルーツサンドを見て、嬉しそうに微笑む姿を今でも思い描くことが出来る。

「早くしなきゃ……」

 再会してから思った事だけど、クロードは成人男性なので、それなりの量を食べる。

 つまり、彼が満足出来るような量を作ろうと思えば、時間が掛かることが予想された。

 私は事前に多めに買っておいた果物を取り出し、綺麗に洗うと皮をむき始めた。たくさん使う生クリームも早めに混ぜないといけないので、

「大変ですね。僕も何か手伝いましょうか?」

 宙に浮いたギャビンが私の顔の横で聞いたので、私は驚いた。

「……出来るの?」

「出来ますよ! 僕は誇り高い翼猫ですよ。何をすれば良いですか?」

 確かにギャビンが自らの一族に対して誇り高いことは知っているけれど、それと作業が可能か不可能かは別だと思うの。

 私は苦笑いしつつも、洗いおけに水で浸けている果物を指さした。

「あ……じゃあ、果物を洗ってくれる?」