仕事はちょうど休みだった。クロードもしれっと私と同じ休みを取っているらしい。
こういう事からも理解出来る通り、クロードは私から長時間離れる気は無いようだった。
これまで家出をした私が何処に居るかと長期間探し回っていたらしいし、とても過保護なことを言い出すことにあるので、幼い頃の私のままだと思って居るのかもしれない。
だから、ぐっすりと寝静まった深夜に、ギャビンにお願いして彼を眠らせてもらうようにしたのだ。
キラキラした魔法の粉は、ゆっくりとした速度で眠っているクロードに舞い降り、そして、静かに光を消した。
「早く早く……クロードは耐性が強いから、効きが悪いんです」
「わかったわ!」
役目を終えたとばかりに額の汗と拭く仕草をギャビンに急かされて、私は慌ててお祝いの準備に取りかかった。
今では大金持ちになっている勇者クロードに満足して貰えるような何かが私に用意出来るはずがないし、喜んで貰えるような美味しい料理でもてなそうと決めたのだ。
クロードは幼い頃、ふわふわの白いパンに挟まれたフルーツサンドが好きだった。



