無事に生徒会入りを果たした私は、同時に入った下級生イエルクと食堂で昼食を取っていた。

「……イエルクくんも、私と同じように食事には不満持っていたのね」

 人もまばらな食堂に着いた私たちは、どう考えても味を調えようと考えているとは思えない、肉のかたまりを同時に見下ろしていた。

 ……何をどうしようと思ったら、こんなにも不味く肉を料理出来るの?

「僕はグーフォ地方にある村の出身なので、アクィラの食事には、まだ慣れません。粗食を美徳としているとは聞いていたのですが、まさか……これほどまでとは思っていなくて……」

 そうよねそうよね……わかるぅ……乙女ゲームしている時には、食事シーンとか全然出てこないから、登場するキャラたちが、こんな粗食に耐えているなんて思わなかった!

「そうよね……私も贅沢は言わないんだけど、せめて……もう少し、味付けには工夫して欲しいっていうか……」

 言葉を濁した私に、イエルクくんは頷いた。

「わかります。あと、塩をかければ良いと思っているのか、塩辛すぎて……もう、食べられない時もあります」

 今まで不満はあれど、事情があり人を避けていたせいか誰にも言えなかったのか、イエルクの口からはどんどん食事に関する不満が溢れて出て居た。

「うんうん。本当だよね。味付けは、適量で良いんだよね……わかってないよね」

 私はもぐもぐと硬いオーク肉を噛んで、なんとか咀嚼した。本来ならオーク肉は高級食材のひとつで、オークキングの肉は、美食家の中でも人気が高い。

 けどけど、私の食べているオーク肉の切り落としと野菜を炒めただけのものは、てかてかと光り油でぎとぎとだし、その見た目だけでも食べる気が失せる。

「……ディリンジャー先輩は、アクィラ出身だから、気にならないのかと思っていました」

 イエルクはにっこりと微笑むと、自分もまったく具のないスープを飲んで微妙な表情になっていた。