(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

 私が彼にそう希望しました……あまりに世界の食べ物が美味しくなさ過ぎて、世界中の美味しいものを食べに行けるなら、不可能に思えるような……悪役令嬢が魔法界を救うっていうルートも、頑張れそうな気がして……。

「……兄上。ロゼッタ・ディリンジャーをと、一体どのような関係なのですか?」

 エルネストはやけに親しげな態度を見せる王太子殿下に、私たちの関係が不思議になったらしい。

「気になるかエルネスト。何。新婚旅行は、魔法界一周にしようと約束した仲だ」

 王太子は楽しげにそう言ったけれど、私以外の周囲に居る全員がざわざわとざわつき、恋愛関係の話が大好きなフローラは嬉しそうに高い悲鳴をあげていた。

 そして若干の距離を空けていた……止めて! 私、結婚するって聞いてないよ!

「いえいえ。旅行はしようとお約束しましたが……!」

 私の知らないところで、明日の魔法界トップニュースになってしまう……これは、変な事になって来た慌てた私は、王太子の話を否定しようと手を横に振った。

「兄上……それは、本気なのですか?」

 慎重に言ったエルネストは、好奇の視線をこちらに送る周囲を見渡していた。