(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

「構わん。予定より少々早く会えてしまったが、僕はちゃんと約束を覚えているぞ」

 エルネストは意外過ぎる兄の言葉を聞いてから、後ろで息を殺していた私を振り返った。

「ロゼッタ……兄上に、会ったことがあるのか?」

 魔力が強くそれゆえに二色の魔法を使うことの出来る王太子殿下はあまり、公の場に姿を現すことはない。魔法学園にだって通う必要のないくらいに優秀過ぎたし、なんでも人嫌いのようなのだ。

 今回優勝賞品授与だって、多分弟のエルネストが出場するからきまぐれで了承してくれただけで……本来ならこういう場所には、本来ならば弟王子たちが出て来るはずだった。

「えっ……ええ。そうですね。はい。一度だけ……ええ。少しのお時間でしたが」

 あの時に会った私には正体を隠して居た、王太子殿下。出会った時の状況を話して良いものか私は悩み、真っ正面に居る彼をチラッと見上げた。

 やっぱり、おかしいくらい顔が良い。

 彼はエルネストの兄でしょう……?