(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

 エルネストは真面目な性格で知られている王族だ。彼に何かをされたというサザールの意見など、無視されてしまって終わるだろう。

「すみません! 謝ります! 悪かったです! ……これで良いだろう?」

「誰に謝罪しているのかわかりません。名前がありませんよ。誠意を込めて謝罪してください」

 イエルクは冷たく言い放ち、サザールは顔を歪めて私を見た。

「ロゼッタ……悪かった。止めるように頼んでくれ!」

 哀れな声でそう言ったので、私は可哀想に思えてしまった。高慢な性格でプライドの高い兄サザールのこと、当分立ち直れないだろう。

 ひと月ほどベッドで丸まっているかもしれない。

 けれど、それもこれもなにもかも、全部自業自得なのだけど。

「エルネスト殿下。私は謝罪を受け入れます」

「……良いのか?」

 なんならまだまだ苦しめることが出来ると言わんばかりのエルネストに、私は首を横に振った。

「ええ……十分過ぎるほどです。私に謝罪したなど、きっと当分苦しみますわ」

 エルネストはイエルクに確認するように目で合図し、彼が頷いたのを見て、ようやく氷魔法を解除した。


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