「……うん。大丈夫。二人で協力して、個体撃破をしていきましょう。イエルクは……平気?」

 今も攻撃は続いているのだけど、流石優秀な魔法使いとして知られるイエルクは全く顔色を変えない。

「僕は大丈夫です。ディリンジャー先輩は、赤魔法ですよね。あの結界を、破れますか?」

 私たちを相手取った二人は、グーフォの中でも下級生のようだ。二人で緑色の結界を張り、私たちを攻撃している。

 結界を張っているから安全は確保されているものの、あの中から放った攻撃魔法の効果は半減されてしまうので、私たちにも届かない魔法は多い。

 私の使う赤魔法は基本的に、攻撃魔法だ。火属性の魔法が多いし、風の結界だって、一点集中すれば崩すことは出来る。

「……わかったわ。やってみる」

 頷いた私を見てイエルクは、断続的にやって来る攻撃を弾きつつ言った。

「お願いします。結界に綻びが出れば、僕が一気に畳みかけます。そうすれば、先輩たちに加勢に行くことにしましょう」

 赤魔法を発動させるために、私は目を閉じて念じ始めた。