映画館から出ると辺りはもう真っ暗。
商店街を抜け、少し人通りの少ない小道に入ると、薄暗い灯りだけとなる。
「今日は付き合ってくれて、ありがとう」
「俺の方こそ。あんないい映画見れたし…それに、海老沢くんの可愛い顔見れたから」
「へ」
「前に言ったじゃん。泣き顔に一目惚れしたって」
あっ、と僕は息を呑んだ。あれから全くそう言ったそぶりを見せないから、もう僕の中では里山は普通の友人のように接していた。
ジワジワと顔に熱を感じていた。里山はどんな顔をしているのかと見ると薄い灯のもとで、少しだけ照れたような顔をしている。
「あ、あのさあ里山くん」
「なに?」
「気分悪くしたらごめん…君はゲイなの?」
「いや、バイなんだ。前付き合ってたのは女性」
ああ、だから合コンに行ってたのか。僕は足を止めると、里山も止まった。
「海老沢くん?」
「…友達じゃダメかなあ」
ポツリと呟く。一緒にいるようになって、里山との距離は縮んだもののやはり恋愛としては見れそうにない。そもそも恋愛って?里山は僕に何を求めてるんだろうか。
しん、と沈黙が流れる。短い時間の筈なのに、長く感じた。
「海老沢くんに一目惚れだって言ったあとも連絡先交換してくれたし、こうやって一緒に出かけたり…さっきも手を払わなかったからさ、距離感、間違えてた。ごめんね」
里山は少し寂しそうに笑う。
ずきっと胸が抉れるような痛みを感じ、僕は慌てて何か言おうとしたが、言葉が出ない。
「あ…」
断るなら、初めから拒否すべきだったんだろうか。でも告白された訳ではないし…
胸が痛い。里山はもっと痛いんだろうか。
「大丈夫だよ」
項垂れた僕の頭を撫でて、里山が優しく声をかける。大丈夫って?
「またあのラーメン屋さんに行こう。キャンプも。友達としてさ。約束したもんね?」
その言葉に僕は何故か泣きそうになって、思わず顔を背けた。
これは多分、里山に見られてはいけない涙なんだ。
商店街を抜け、少し人通りの少ない小道に入ると、薄暗い灯りだけとなる。
「今日は付き合ってくれて、ありがとう」
「俺の方こそ。あんないい映画見れたし…それに、海老沢くんの可愛い顔見れたから」
「へ」
「前に言ったじゃん。泣き顔に一目惚れしたって」
あっ、と僕は息を呑んだ。あれから全くそう言ったそぶりを見せないから、もう僕の中では里山は普通の友人のように接していた。
ジワジワと顔に熱を感じていた。里山はどんな顔をしているのかと見ると薄い灯のもとで、少しだけ照れたような顔をしている。
「あ、あのさあ里山くん」
「なに?」
「気分悪くしたらごめん…君はゲイなの?」
「いや、バイなんだ。前付き合ってたのは女性」
ああ、だから合コンに行ってたのか。僕は足を止めると、里山も止まった。
「海老沢くん?」
「…友達じゃダメかなあ」
ポツリと呟く。一緒にいるようになって、里山との距離は縮んだもののやはり恋愛としては見れそうにない。そもそも恋愛って?里山は僕に何を求めてるんだろうか。
しん、と沈黙が流れる。短い時間の筈なのに、長く感じた。
「海老沢くんに一目惚れだって言ったあとも連絡先交換してくれたし、こうやって一緒に出かけたり…さっきも手を払わなかったからさ、距離感、間違えてた。ごめんね」
里山は少し寂しそうに笑う。
ずきっと胸が抉れるような痛みを感じ、僕は慌てて何か言おうとしたが、言葉が出ない。
「あ…」
断るなら、初めから拒否すべきだったんだろうか。でも告白された訳ではないし…
胸が痛い。里山はもっと痛いんだろうか。
「大丈夫だよ」
項垂れた僕の頭を撫でて、里山が優しく声をかける。大丈夫って?
「またあのラーメン屋さんに行こう。キャンプも。友達としてさ。約束したもんね?」
その言葉に僕は何故か泣きそうになって、思わず顔を背けた。
これは多分、里山に見られてはいけない涙なんだ。



