その後、石川先生の指示に従って掘り起こせれたものを箱に入れ、マジックペンでグループ名を書き、竹田先生のところへ持っていった。
 5分ほど経ってから、石川先生が声を張った。
「それでは、お楽しみの優勝グループの発表でーす! まず、一番多くの宝物を掘り起こすことができたグループは……『チームピカ⭐︎イチ』さんで、74個でーす! おめでとうございまーす!」
おそらく「チームピカ⭐︎イチ」さんたちであろう幼くフレッシュな男子3人組が、「ヨッシャー!」や、「フ〜フ〜!」などといった嬉しくてたまらなさそうな声を上げていた。そして私は、早鐘を打つ心臓を無理やり押さえながら拍手をした。心臓が早鐘を打っている理由は、言うまでもない。
「続いて、これを掘り起こした人は……『()()()にいる()()ぎさん☀︎』さんで、このようにちゃんと掘り起こしてくれましたー! おめでとうございまーす! そして、ありがとうございます」
私は、さっきよりも二倍以上の速さで打っている心臓がバレないようにしながら先生や拍手をしてくれるみんなにお礼をした。……て、待てよ? さっき、「おめでとうございます」の後に、「ありがとうございます」と言っていなかったっけ。ありがとうを言うのは、こちら側なんだけど……。
「さっき、先生は『おめでとう』の後に『ありがとう』って言っていなかったっけ? あれって、どう言う意味なんだろう……」
「確かに、なんでだろうね。何か理由があるんだよ。一生懸命この日のために箱や宝を探してきたとか……。あ! 前、私たちが掘り起こしそうになった時があったでしょ? そのときにぜんぶをほりおこさなくてありがとうなのかも!」
「あ、そうなのかもしれないね」
うさみちゃんの言う通り、あの時の行動にありがとうなのかもしれない。
「それでは、ただいまより授賞式を始めます。『チームピカ☆イチ』さん、『()()()にいる()()ぎさん☀︎』さん、前に出てきてください」
私たちは「授賞式」と名前がつく場面で前に出て証書をもらう機会が少ないからか、ロボットよりもぎこちない歩き方をして前に出た。「チームピカ☆イチ」さんたちは、とてもうきうきした様子で前に出た。
「賞状 チームピカ☆イチ殿 あなたたちは『飼育小屋の宝を探せ!』において掘り起こし個数74個と最多掘り起こし部門で優秀な成績を収めましたのでこれを賞します 令和6年3月17日 石川正良 竹田秀信  おめでとう!」
一斉に拍手が沸き起こった。賞状と3つのメダルを受け取った「チームピカ☆イチ」さんたちは、とてもすがすがしい笑顔をみんなに見せた。真っ白な歯が輝いて見えた。