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「ただいま帰りました」
私・鈴木うさみが家に帰ると、母は私に、
「おかえりなさい。うさみ、うさみの学校で今週の土曜日にイベントがあるそうよ。しかも、うさみの大好きな飼育小屋で。せっかくだし、行ってみない?」
と言い、チラシを渡してくださいました。でも、びっくりです。なぜなら、学校でやるイベン卜なら、先生が教えてくれると思うからです。ですが、先生からは何も言われませんでした。本当にそんなイベン卜は、やるのでしょうか。明日学校にこの紙を持っていって、先生に確かめようと思います。
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「ほの、ほのが通ってる学校のことについて、ポスティングされていたわよ。見てほしいんだけど」
放課後。私・春井ほのかは、宿題をしようとしていたところ、お母さんに呼び止められた。
「学校でやるイベント? 宝物を掘り起こせ? 初耳だな~。気になる! お母さん、教えてくれてありがとう!」
「そう? 学校でお知らせされなかったのね~。不思議だわ~」


 翌日。クラスの中では、あのポスティングされていたチラシのことしか会話のネタになっていなかった。他の地区にもポスティングされていたんだ。となると、地区が違ううさみちゃんの家にもポスティングされていたのかな?
「ほのかちゃん、おはよう! 朝から悪いんだけど、このチラシ、ほのかちゃんの家にもポスティングされた?」
席に着くと、私が話しかけようとしていた人が、話しかけてきた。
「おはよう、うさみちゃん。私の家にもポスティングされていたよ」
やっぱり、うさみちゃんの家にもポスティングされていたんだ。
「そうなんだ! このチラシ、本物なのかな?」
え? 私、今から誘おうとしていたのに、うさみちゃんは何とぼけたことを言っているんだろう。
「なぜかというとね、学校でやるイベントなら先生がお知らせしてくれるだろうし、飼育小屋でやるんだったら飼育小屋にチラシがはってあると思うからだよ。それに、ここ! 学校関係なら発行者は教育委員会になっているはずなのに、見たことがない漢字ばっかり!」
確かにうさみちゃんのいう通り、このチラシは不思議だ。学校でお知らせはしないし、校内にチラシがはっていない。さらに普通のチラシならあるはずのホームページにいくためのQRコードすらない。うさみちゃんのいう通り、このチラシは本物ではなく、詐欺かもしれない。参加料をとってそのままイベントをしないという手を使って。しかし、私はあるところを見て目を疑った。
「参加料は……、む、無料!?」
参加料が無料なら、詐欺ではない。じゃあ、どういう意味なんだろうか。本当に、このイベントは開催されるのだろうか。うさみちゃんもそれに気づいて声を上げた。
「ほんとだー! これは……」
「「いくしかない!」」