そのあと私たちは、急いで職員室前まで集まった。
「「遅くなりました!」」
飼育当番担任先生の石川先生と、飼育当番副担任先生の竹田先生が職員室前で待っていた。
「よし、二人とも集まったね。まず、春井さん。先週の金曜日、君は飼育小屋に埋まっていたとされる謎のブロックのようなものを発見したと言ってくれたね」
「はい」
あの謎のブロックのことか。すぐ話を終わらせて、飼育小屋の掃除をしないと。仕方がないので私は話の続きを聞いた。
「見つけたのは、だれと、いつ、どんな感じで埋まっていて、どんな心情になったのかな?」
「はい。うさみさんと、先週の月曜日の業間、浅いところで顔を出していたけどまだまだ奥は深そう.....あ、とても大きそうなもので、『なんでこんなところにブロックが埋まってあるんだろう』と思いました」
「そうか.....。ありがとう。もう少し話を聞いていいかな?」
えぇ、まだ続くの? 適当な理由つけて早く飼育小屋に行きたいと、切実に思った。
「いえ、今日はちょっと.....」
石川先生は、掃除をしっかりとするように、と初めの頃はかなり念を押して指導していたので、掃除となれば許しが出ると思っていた。しかし、先生たちは大人だ。そんなに甘いわけがない。私たちが予想していなかった答えが出てきたのだ。
「なんでかな? 飼育当番の日なのは知っているけれど、とてもきれいだからやらなくてもいいんだよ」
なんで? あんなに熱血に指導していた先生がこんなことを言うなんて……。信じられない。いったい、どのようなきっかけでこのようになってしまったのだろうか。
「……はい、わかりました。で、続きというのは、なんでしょうか」
「そうそう。次は、鈴木さんに話を聞きたいんだ」
え、次はうさみちゃんに? いったい、石川先生は、どんな目的で私たちを混乱させているのだろうか。
「あ、はい。わかりました」
「じゃあ……うさみちゃん、うさみちゃんが見たのは、ズバリこんなものじゃないかな?」
そう言って先生は、私たちに写真を見せた。私たちはは声をあげて驚いた。なぜなら、私が先週見たブロックらしきものとそっくりだからだ。
「それです! でもなんで……。もしかして先生、このブロックらしきものについて何か知っているんですか!?」
「まあね。でも、詳しくはいえないかな」
「どういうことなんですか、先生!」
ちょうどうさみちゃんが正論を言ったところで、業間が終わる合図の音楽が鳴った。もう、どういうことなのかさっぱり分からない。
「二人とも、業間が終わる音楽がなったぞ。さっさと教室に戻れー」
「「はい、わかりました。ありがとうございました」」
もう、まだまだ先生に聞きたいことだらけなのに……。
「ほのかちゃん、あの先生の言っていたこと、どういうことだと思う?」
教室に戻っている最中、うさみちゃんが私に話しかけてきた。
「うさみちゃんもわからないの? 実は私もさっぱりわからないんだよ。本当に、何か知っているんだったら、教えなさいよ、って言う感じだね」
「そうだよ。少しでも教えてくれたらいいのに……」
そして私は、時計を見て叫んだ。
「あっ、うさみちゃん、授業始まっちゃうよ! 急ごう!」
「う、うん!」