星簇くんの恋愛攻略教室〜天才占い師さまは、俺にだけズルくて甘い〜

天川(あまかわ)さんの事が好きです! 良ければ俺と、付き合ってください!!」

 勇気を振り絞って出した告白。俺は顔全体が赤く染まり、思わず俯く。

 時刻は放課後真っ只中。帰りの支度をする天川美波ちゃんを校舎裏に呼び出し、今に至る。

 ミルクティーのふんわりした髪を肩下まで伸ばして、零れ落ちそうな程大きな瞳。あの目で見つめられたら誰でも好きになっちゃう。つまりは一目惚れだ。

 彼女とは幸い、同じクラスであるため、これまでに何度か話しかけたりして、アプローチしてきた。

「えっと、姫路(ひめじ)くんだよね?」

「はい! お、俺のこと覚えててくれたんですか?!」

「うん。そりゃあ、あんなに猛アタックされたら名前と顔は覚えちゃうし……」

 渋々そう言う天川さんに、僕は内心嬉しさで飛び上がりそうだ。好きな人が顔と名前を覚えててくれるだなんてこと、幸せでしかない。

「それでなんだけれど……」天川さんは円な瞳で呟く。その悩んだ仕草と表情も様になっていて可愛い。

「ごめんね。私、姫路くんのこと友達としてしか見てないんだ」

「……」

 その瞬間、俺の心は化石と化したのは言うまでもない。


⭐︎⭐︎

 次の日。

「まぁーた、振られちゃったのかぁ」

「うるせぇ……」

 四時間目の授業も終わり、昼休みが始まるみんなが昼食の準備をする中、未だ拭いきれない悲しみを机の上にぶちまけた。今、俺の顔はこの世の終わりとも思える酷い顔をしている。

 前の席にどんっと座る天神(てんじん)文月(ふみつき)は対して同情の顔もせずつらつらと述べ始めた。

(はもり)は惚れっぽい所あるからなぁ。最初は、隣のクラスのクール女子 双葉なこちゃんに告白して振られら次に同じクラスのギャル系女子 早乙女みちるちゃんに告白して振られ、今回は学年一美少女と囁かれている天川美波さんに告白して振られる。いやぁ、全敗だとは……」

「さらっと過去のことを掘り出さないでくれるか」

 指折りしながら会話をする彼に不貞腐れた。文月はにこやかない笑顔で拍手をし始める。

「それでもめげずに告白する精神は褒め称えよう。相変わらず、行動力だけは随一だ。いやー、お陰で全男子生徒の敵に回した者だけあるよ」

「それ褒めてるというより貶してないか?」

「まぁそれはさておき! そんなに彼女が欲しいなら、知り合いが何人かいるから紹介しようか?」

「でた、文月の陽キャコミュニティー」

 俺はそう呟いた後、文月からそっぽ向いた。こいつは上位カーストに滞在する所謂陽キャで、勿論人脈が広い。

 中学校入学して、最初のクラス替えで偶然隣になったことがきっかけで交流がここまで発展した。その時には既に、文月の周りには人だかりが出来ている。

「そもそも織は彼女が欲しいのー?」

「ほ、欲しいって言うか……。ただ、好きになったからって言うだけで……。でも今回は絶対諦めない。俺、天川さんにもう一回告白してくる!」

「ちょっと待ってよ!」

「何だよ文月」

 不意に腕を掴まれ、じろりと睨む。

「そうやって闇雲に突っ走ってもまた落ち込む未来しか見えないぞー? ここは一旦策略を立てなきゃ」

「策略ぅ?」

 キメ顔で「策略!」と続ける彼に、半分期待せずに聞く。

「噂だけれどこの学校には占い師がいて、そいつに相談するとどんな願いでも叶うっていう話」
 
 案の定である。

「くだらない」

「あれ?! そう言う系には反応しないんだ。織はちょろくて可愛い所があるから、すぐに食い付くかなって」

「なんだよちょろいって! どうせ嘘っぱちだ。騙されないぞ!」

「いやいや本当だって。それで、恋愛成立した奴もいるって話よ」

「よし、放課後行こう。善は急げだ」

「判断はやっ」

 だって成果が出ているなら話は別だろ。俺だって自分自身がちょろいって思ってるよ。でもさ、必死になればどんな手法でも頼りたくなるだろ。

 だから俺は絶対悪くないぞ!