シャルルは懐中時計を閉じると、さっきほどまで止まっていた人々は何事もなかったかのように動き出したのでした。
ルーナは、不思議な光景を目の当たりにしてしまい少し戸惑ってしまったが何とか気持ちを落ち着かせようと深呼吸をしたのでした。
「ルーナ」
突然ルーナの手をシャルルが握ると次の瞬間、あの古そうな洋服店の前に立っていたのでした。
「え、、」
思わず声を出てしまいましたが、これも魔法の能力なのだとルーナは思ったのでした。
「用事も済ませたし、そろそろ馬車に戻ろうか」
「はい、シャルル様」
シャルルが笑顔でルーナの顔を覗くと停まっていた馬車に乗り込み、ルーナも続けて乗り込むのでした。
馬車が動きだし、お互い話すことなく沈黙の時間が流れる中でルーナは窓の外を眺めシャルルはルーナの様子を見ていますがルーナはシャルルの視線に気が付かず窓の外を眺めていました。
「ルーナ」
シャルルがルーナの名前を呼ぶと外を眺めたていたルーナはシャルルの方に視線を移します。
「はい。シャルル様」
ルーナはじっとこちらを見ています。
「ルーナは僕が魔法使いといった時どう思ったか教えてくれるかい?」
ルーナは言葉を選びながら話し始めます。
「もちろん最初は、魔法使いといわれて戸惑いました。私にとって魔法使いという存在は空想の存在だったからです。でも自分の瞳でシャルル様が変わっていく姿をみて本当に魔法使いが存在するのだということを実感したのです。ですから、シャルル様が魔法使いということを私自身が思うよりもすんなりと認められたのだと思います」
「ルーナ、答えくれてありがとう」
ルーナは頷くと、次はシャルルが話し出します。
「僕が魔法使いであるということをあんな形で伝えてしまったこと、ルーナを騙したようになってしまった。でもずっと魔法使いということを隠すつもりではなかったことを理解してほしい。最初から僕が魔法使いだということを話したらルーナは信じてくれずに僕のことを拒絶してしまうのではないかと怖かったんだ。だから正式に里親として認められてから伝えようと決めていたんだ」
「そうだったのですね。ですが、何故本来の姿ではなく魔法を使って姿を変えたのですか?」
「それは…、若い姿よりも少し歳を取っている方が里親として認めらやすいときいたことがあって、そんなことよりも僕は、ルーナの里親になりたかったんだ。それと僕が魔法使いということは僕とルーナだけの秘密だよ」
「も、もちろんです。ふたりだけ秘密です」
シャルルが真剣な顔でそんなことを話すからルーナは恥ずかしくなってしまう。
シャルルがどれほどまでにルーナの里親になりたかったのかが伝わってルーナは心が温かくなるのを感じたのでした。
シャルルの話しが終わりしばらく道中を進んでいるそのとき馬車から外を眺めていると花畑が見えてきたのでした。
ルーナがパッと明るくなり花畑を食い入るように見ている様子を見ていたシャルルはルーナに尋ねました。
「ルーナ、近くで見てみるかい?」
「良いのですか?」
ルーナは、シャルルに新たに見せた嬉しそうな表情をしたのでした。
「もちろんだよ」
シャルルは御者に花畑の近くに馬車が止めてもらうように頼むと程なくすると馬車が花畑の近くに止まったのでした。
ルーナは待ちきれずに急いで馬車から降りていきます。
「気をつけないと、怪我をしてしまうよ」
走りながら後ろから聴こえるシャルルの声にルーナは返事をします。
「大丈夫ですよ。シャルル様」
そこには、辺り一面紫色の花畑が広がっていたのでした。
「うわーあ、キレイ」
ルーナは、紫色の花の近くに顔を寄せる。
「それににおいもいい香り。シャルル様、キレイですよね」
「そうだね。ところで、ルーナこの花の名前を知っているかい?」
「いいえ、知りません。始めてみました何という名前の花なのですか?」
「この花の名前は、ラベンダーといって、料理の香り付けや薬として使われているんだよ。それに視るだけでも心が癒される」
「ラベンダーは様々な用途に使われていて素敵です。香りも素敵です」
「そうだね」
ルーナの子どものような姿を後ろでそっとシャルルは眺めていたのでした。
十分にラベンダー畑を見て回りましたが、ルーナはまだ名残惜しそうに時々振り返りながらラベンダー畑を見ながら馬車に戻っていったのでした。
馬車に乗ってからもルーナはラベンダー畑が見えなくなるまで見続けていたのでした。
最初の夜、シャルルとルーナは宿に隣接する土産屋に来ていました。
シャルルとルーナは、最初に部屋に荷物を置き夕食のために外に出掛けようとしていたところシャルルが土産物屋の看板を見つけたのです。
「ルーナ、少し入ってみるかい?」
ルーナは嬉しさを隠せず頷いた。
店内に入ってみると、棚には置物や食器、タイルコースターなどが並べられていたのでした。
ルーナは、ハーブが並んでいる棚をみつけ、その棚を見始めました。
教会を出てからも困らないようにと基本的な字の読み書きを教会で教えてもらえるのですが、ルーナはもちろん教えてもらえず独学で本などを真似して読んだり書いたりして覚えたのでした。
ローズマリー、ミント、カモミール、ラベンダー、その他にも色々なハーブが並んでいて、小瓶に乾燥されているハーブが入っています。
こんなにも沢山のハーブがあるのだと、ルーナは思いながら、綺麗な紫色をしたラベンダーの小瓶を手に取ったのでした。
(これがさっき花畑で見たラベンダーの花を集めたハーブなのか)
ルーナの隣にシャルルがやってくる。
「気になるものはあったのかな?」
「いえ、ありません」
ルーナは慌てて小瓶を棚に戻すと他の場所に移動します。
しばらく土産屋を見ると夕食を食べにお店に向かいました。
その後、夕食を済ませ宿に戻ってくるとテーブルの上には土産屋で見ていたラベンダーの小瓶が置かれていたのでした。
「どうして」
ルーナはテーブルから小瓶を持ち上げると、小瓶の送り主のことを思い浮かべる。
パジャマに着替え終えるとトランクから日記を取り出すと備え付けられているペン
ルーナが教会を出て始めての日記帳にはこう記したのでした。
『紫色の花畑をシャルル様と一緒に見たラベンダーという名前の花だという。料理の香り付けや薬として使われているとシャルル様が教えてくれた。ラベンダーの小瓶の贈り物のもらった。この町の名物料理を食べたとても美味しかった。心が温かくなった』
ルーナは小瓶を日記帳の横に置くと、ベッドに入り眠りに就いたのでした
教会から出発して二日目の朝がやって来ました。
ルーナは外の騒がしい音で目を覚ましたのでした。
「何の音かしら?」
まだ朝だというのに何があったのだろうかと眠い瞳を擦りながらルーナはベッドから起きる上がると泊まっている部屋の窓から外を見ていました。
すると、大勢の人が一ヶ所に集まっているのが見えました。
「大丈夫かな?」
外の様子を見ていると突然ドアがノックされました。
「ルーナ起きているかな?」
「はい起きています」
「朝の支度が終わったら朝食を食べに行こう」
「朝食ですか!すぐ支度します」
その後すぐに、ルーナはパジャマから白色のワンピースに着替えると昨日、机に出しておいた日記帳や小瓶をトランクに詰めたのは朝食を食べてからすぐに出れるようにするためです。
支度を終えたルーナはシャルルの部屋のドアをノックすると、シャルルがドアを開けると昨日とはかっちりとした服装ではなく平民の人々が着るような落ち着いた服装をしていたのでした。
「支度を終えたんだね。行こうかルーナ」
宿を出て正面のお店から二軒先に朝から開いているパン屋さんがある。
パン屋さんに入ると焼きたてのパンの香りが店内に充満している。
パン屋さんの隣では数種類のスープを販売していた。
ルーナは、バタールと野菜がたっぷり入ったスープ、シャルルはバゲットにクラムチャウダーと一緒に食べたのでした。
朝食を済ませ荷物を取りに宿に戻り、忘れ物はないか確認を済ませると、一階にある受付にシャルルは二部屋分の鍵を返すと入り口に向かいます。
そこには馬車がすでに停まっており、馬車に二人は乗り込んでいきます。
シャルル様に朝の騒動を聞いてみることにしたのでした。
「朝から騒がしくて驚きました」
「僕も気になったから、外に行ってみたのだけれど、どうやら通行人同士の喧嘩でそれを止めてる人や騒ぎで大勢の人がいたようだよ」
「そうだったのですか。朝からあれほどの人がいたの大勢いたので」
「確かにあれは、朝からあれほどの人がいたら驚くかもしれないね」
ルーナは、まだ言えていなかったことをシャルルに伝えます。
「あ、あのシャルル様ラベンダーの小瓶ありがとうございました」
「ああ、うん。喜んでくれた良かったよ」
シャルル様の何事も無かったかのように贈り物を贈ってくれる。
ルーナ横目でシャルルをみている、あのキレイな横顔をただ眺めていた。
随分長いこと馬車に揺られていた。
田舎町からやって来たからなのか見る景色が変わり始め、畑や羊などの動物は少なくなり
高い建物が増えていって人が多くなっていきました。
すると、窓の景色を見ているとが沢山の人々がある一定の場所に集まっていて溢れ返っているのが馬車の中では見えましたが少し遠くにあるため何があるのかはよく見えずあの場所に何があるのか急いで、シャルル様に尋ねてみることにしました。
「シャルル様、あれの人だかりは何でございますか?」
「あれは、マーケットといって野菜とか食器とかなどのものが売っている店だよ。ルーナ、行ってみたいかい?」
「い、行きたいです」
マーケットの近くまで馬車を近づけると沢山の人々で各々欲しい商品を見定めて買い物をしています。
馬車を下りると、入り口近くには、沢山の人々が集まっています。
ルーナとシャルルは人混みを掻き分けて商品を見て回ります。
果物、食べ物、服、アクセサリー、どれもこれもルーナには、瞳には新鮮に映っていたのでした。
「シャルル様、本当に沢山の様々なものが売っていますね。圧倒されてしまいます」
「そうだね。ルーナ、気になる店は見つけたかい?」
ルーナは悩んでいるとアクセサリーが並んだお店を見つけ、ここに立ち寄ることにした。
「いらっしゃい」
お店の女性店主は優しい顔で迎えてくれる。
ネックレス、指輪、耳飾り、ブレスレット、ピンズなどがキレイに陳列されている。
ルーナはその中で小さな花びらが散りばめられた髪飾りに目を引かれ手に取り見ていると女性店主ルーナに話しかける。
「お嬢ちゃん、お目が高いね。どうだい?」
「い、いえ大丈夫です」
ルーナは髪飾りをもとに戻してします。
「次に行きましょう、シャルル様」
その後もルーナは、見るだけで欲しいと言わなかったのです。
すると、シャルルがその様子を見かねて口を開く。
「本当に何も買わないのかい?」
「はい、見ているだけでとても楽しいですから」
その後、マーケットを出ると近くのレストランで食事を済ませると、また馬車に乗り込む。
この後も長い間馬車に揺られルーナたち夜になり、また宿に泊まることになった。
部屋でルーナが今日も日記を記している。
『マーケットという場所に始めての行った。そこには沢山のものが売っていて、果物、服、アクセサリーなどがあり見ているだけでも楽しかった。また行きたいと感じた』
そして、三日目がやってきた。
ルーナは、ベッドから起き上がると伸びをした。
今日はいつもよりも早く支度を終えると、隣のシャルル様の部屋に向かう。
そっとドアをノックすると、スーツ姿でシャルル様が迎えてくれた。
(もう起きていたのね)
「ルーナ、おはよう」
「おはようございますシャルル様」
「もう支度を終えたんだね。僕はもう少しで終えるから僕の部屋で待っているかい?」
「はい。では待たせていただきます」
一人用のソファにルーナは座ると、シャルルはトランクの中に荷物を積めていた。
ルーナはキョロキョロとどこに視線を定めればよいのか迷っていた。
(シャルル様を見てたら迷惑だよね。どこを見ればいいの~)
「ルーナ、こちらにおいで」
そんなことを一人考えていたときにルーナはシャルルに名前を呼ばれた。
「はい」
ルーナは立ち上がるとシャルルのもとに行く。
「手を出して」
何がなにか分からないままルーナは手を出すと、シャルルはそっと手に何かを乗せたのでした。
手には髪飾りがありそれは前の日にマーケットでルーナが素敵だと思った花びらが散りばめた髪飾飾りでした。
「どうして」
「ルーナにとても似合うと思ってね」
「ありがとうございます」
「着けてもよろしいですか?」
「もちろんだよ」
ルーナは髪飾りをつけるとシャルルに付けた姿を見せる。
「どうでしょうか?」
「うん。とても似合っているよ」
ルーナの長く美しい黒髪に髪飾りが映えていたのでした。
朝食は宿に併設されているレストランで食事を済ませたのでした。
外に出るとルーナは空を見上げると青く透き通った空がそこには広がっていた。
あともうすぐでシャルルの屋敷がある水の都、フルスに近づいているのを感じるルーナなのでした。
また馬車にふたりは乗り込むと、前の日よりももっと長い長い道のりを馬車は進んでいくのでした。
ルーナは教会を出発してからの出来事を振り返っていたのでした。
私がこの選択をしなかったら土地でしか味わえない食べ物や景色をシャルル様と共に楽しむことが出来なかっただろうしこんなにも沢山の笑顔を見せることはなかったのだと思う。
シャルル様といると、何故だか自然に笑顔になってしまう自分がいることに私自身が驚いてた。
シャルルは窓の外を眺めていたが、ルーナの視線を感じたのかルーナに視線を移す。
「どうかしたかい?」
「いえ、何でもありません」
「そう」
シャルルは窓の外に視線を戻し、ルーナもシャルルから視線を外し窓の外に視線を移したのでした。
ルーナがあくびをするのを手で隠すのを見たシャルルはいいます。
「疲れただろう。眠るといい」
そういうとシュルルは席を移動し、ルーナに肩を貸してくれるというのです。
ルーナは最初は申し訳なくてからだに力を入れていましたが、深い眠りにつくと完全にシャルルに寄り掛かって眠っていたのでした。
ルーナはその頃不思議な夢を見ていたのでした。
何処かの草原のようで、遠くには家々が見えており一人の男性がこちらに近づいてくるのが分かります。
どうやらその側には、女性がいるようで何かふたりは楽しそうに話しているようで、何を言っているのかくぐもって聞き取れない。
夢の中の私はその人たちの顔を見ようとするが、眩しく光っていて顔をよく見ることが出来ないのです。
なんだろうこの夢は……。
「ルーナ、ルーナ」
シャルル様の声がします。
「もう少しで着くよ」
ルーナは瞳を開けると、まだ眠たいままの意識がはっきりとしない中でシャルルの肩から起き上がります。
「シャルル様」
「おはようルーナ」
「ルーナ、窓の外を見てごらん」
シャルル様に言われるまま私は窓の外に視線を移すと教会よりも大きな建物のに外壁が細かい細工された建物、石像、そして沢山の人々が歩き馬車などがひっきりなしに行き交っていたのでした。
「うーあ」
思わず声を溢れしまう。
「どう?驚いたかい?見慣れないものばかりだろう」
「はい、私が住んでいた場所では見たことのないものばかりです」
目的地に着くまで、ルーナはずっと窓から外の景色を眺めていると、馬車が突然が止まったのです。
ルーナはシャルルに視線を向けます。
「ルーナ、着いたよ」
そういうと、馬車のドアが開きシャルルは降りていきます。
ルーナもシャルルの後に続いて降りると、ルーナの目の前に古びた屋敷が建っていたのでした。
ルーナは、不思議な光景を目の当たりにしてしまい少し戸惑ってしまったが何とか気持ちを落ち着かせようと深呼吸をしたのでした。
「ルーナ」
突然ルーナの手をシャルルが握ると次の瞬間、あの古そうな洋服店の前に立っていたのでした。
「え、、」
思わず声を出てしまいましたが、これも魔法の能力なのだとルーナは思ったのでした。
「用事も済ませたし、そろそろ馬車に戻ろうか」
「はい、シャルル様」
シャルルが笑顔でルーナの顔を覗くと停まっていた馬車に乗り込み、ルーナも続けて乗り込むのでした。
馬車が動きだし、お互い話すことなく沈黙の時間が流れる中でルーナは窓の外を眺めシャルルはルーナの様子を見ていますがルーナはシャルルの視線に気が付かず窓の外を眺めていました。
「ルーナ」
シャルルがルーナの名前を呼ぶと外を眺めたていたルーナはシャルルの方に視線を移します。
「はい。シャルル様」
ルーナはじっとこちらを見ています。
「ルーナは僕が魔法使いといった時どう思ったか教えてくれるかい?」
ルーナは言葉を選びながら話し始めます。
「もちろん最初は、魔法使いといわれて戸惑いました。私にとって魔法使いという存在は空想の存在だったからです。でも自分の瞳でシャルル様が変わっていく姿をみて本当に魔法使いが存在するのだということを実感したのです。ですから、シャルル様が魔法使いということを私自身が思うよりもすんなりと認められたのだと思います」
「ルーナ、答えくれてありがとう」
ルーナは頷くと、次はシャルルが話し出します。
「僕が魔法使いであるということをあんな形で伝えてしまったこと、ルーナを騙したようになってしまった。でもずっと魔法使いということを隠すつもりではなかったことを理解してほしい。最初から僕が魔法使いだということを話したらルーナは信じてくれずに僕のことを拒絶してしまうのではないかと怖かったんだ。だから正式に里親として認められてから伝えようと決めていたんだ」
「そうだったのですね。ですが、何故本来の姿ではなく魔法を使って姿を変えたのですか?」
「それは…、若い姿よりも少し歳を取っている方が里親として認めらやすいときいたことがあって、そんなことよりも僕は、ルーナの里親になりたかったんだ。それと僕が魔法使いということは僕とルーナだけの秘密だよ」
「も、もちろんです。ふたりだけ秘密です」
シャルルが真剣な顔でそんなことを話すからルーナは恥ずかしくなってしまう。
シャルルがどれほどまでにルーナの里親になりたかったのかが伝わってルーナは心が温かくなるのを感じたのでした。
シャルルの話しが終わりしばらく道中を進んでいるそのとき馬車から外を眺めていると花畑が見えてきたのでした。
ルーナがパッと明るくなり花畑を食い入るように見ている様子を見ていたシャルルはルーナに尋ねました。
「ルーナ、近くで見てみるかい?」
「良いのですか?」
ルーナは、シャルルに新たに見せた嬉しそうな表情をしたのでした。
「もちろんだよ」
シャルルは御者に花畑の近くに馬車が止めてもらうように頼むと程なくすると馬車が花畑の近くに止まったのでした。
ルーナは待ちきれずに急いで馬車から降りていきます。
「気をつけないと、怪我をしてしまうよ」
走りながら後ろから聴こえるシャルルの声にルーナは返事をします。
「大丈夫ですよ。シャルル様」
そこには、辺り一面紫色の花畑が広がっていたのでした。
「うわーあ、キレイ」
ルーナは、紫色の花の近くに顔を寄せる。
「それににおいもいい香り。シャルル様、キレイですよね」
「そうだね。ところで、ルーナこの花の名前を知っているかい?」
「いいえ、知りません。始めてみました何という名前の花なのですか?」
「この花の名前は、ラベンダーといって、料理の香り付けや薬として使われているんだよ。それに視るだけでも心が癒される」
「ラベンダーは様々な用途に使われていて素敵です。香りも素敵です」
「そうだね」
ルーナの子どものような姿を後ろでそっとシャルルは眺めていたのでした。
十分にラベンダー畑を見て回りましたが、ルーナはまだ名残惜しそうに時々振り返りながらラベンダー畑を見ながら馬車に戻っていったのでした。
馬車に乗ってからもルーナはラベンダー畑が見えなくなるまで見続けていたのでした。
最初の夜、シャルルとルーナは宿に隣接する土産屋に来ていました。
シャルルとルーナは、最初に部屋に荷物を置き夕食のために外に出掛けようとしていたところシャルルが土産物屋の看板を見つけたのです。
「ルーナ、少し入ってみるかい?」
ルーナは嬉しさを隠せず頷いた。
店内に入ってみると、棚には置物や食器、タイルコースターなどが並べられていたのでした。
ルーナは、ハーブが並んでいる棚をみつけ、その棚を見始めました。
教会を出てからも困らないようにと基本的な字の読み書きを教会で教えてもらえるのですが、ルーナはもちろん教えてもらえず独学で本などを真似して読んだり書いたりして覚えたのでした。
ローズマリー、ミント、カモミール、ラベンダー、その他にも色々なハーブが並んでいて、小瓶に乾燥されているハーブが入っています。
こんなにも沢山のハーブがあるのだと、ルーナは思いながら、綺麗な紫色をしたラベンダーの小瓶を手に取ったのでした。
(これがさっき花畑で見たラベンダーの花を集めたハーブなのか)
ルーナの隣にシャルルがやってくる。
「気になるものはあったのかな?」
「いえ、ありません」
ルーナは慌てて小瓶を棚に戻すと他の場所に移動します。
しばらく土産屋を見ると夕食を食べにお店に向かいました。
その後、夕食を済ませ宿に戻ってくるとテーブルの上には土産屋で見ていたラベンダーの小瓶が置かれていたのでした。
「どうして」
ルーナはテーブルから小瓶を持ち上げると、小瓶の送り主のことを思い浮かべる。
パジャマに着替え終えるとトランクから日記を取り出すと備え付けられているペン
ルーナが教会を出て始めての日記帳にはこう記したのでした。
『紫色の花畑をシャルル様と一緒に見たラベンダーという名前の花だという。料理の香り付けや薬として使われているとシャルル様が教えてくれた。ラベンダーの小瓶の贈り物のもらった。この町の名物料理を食べたとても美味しかった。心が温かくなった』
ルーナは小瓶を日記帳の横に置くと、ベッドに入り眠りに就いたのでした
教会から出発して二日目の朝がやって来ました。
ルーナは外の騒がしい音で目を覚ましたのでした。
「何の音かしら?」
まだ朝だというのに何があったのだろうかと眠い瞳を擦りながらルーナはベッドから起きる上がると泊まっている部屋の窓から外を見ていました。
すると、大勢の人が一ヶ所に集まっているのが見えました。
「大丈夫かな?」
外の様子を見ていると突然ドアがノックされました。
「ルーナ起きているかな?」
「はい起きています」
「朝の支度が終わったら朝食を食べに行こう」
「朝食ですか!すぐ支度します」
その後すぐに、ルーナはパジャマから白色のワンピースに着替えると昨日、机に出しておいた日記帳や小瓶をトランクに詰めたのは朝食を食べてからすぐに出れるようにするためです。
支度を終えたルーナはシャルルの部屋のドアをノックすると、シャルルがドアを開けると昨日とはかっちりとした服装ではなく平民の人々が着るような落ち着いた服装をしていたのでした。
「支度を終えたんだね。行こうかルーナ」
宿を出て正面のお店から二軒先に朝から開いているパン屋さんがある。
パン屋さんに入ると焼きたてのパンの香りが店内に充満している。
パン屋さんの隣では数種類のスープを販売していた。
ルーナは、バタールと野菜がたっぷり入ったスープ、シャルルはバゲットにクラムチャウダーと一緒に食べたのでした。
朝食を済ませ荷物を取りに宿に戻り、忘れ物はないか確認を済ませると、一階にある受付にシャルルは二部屋分の鍵を返すと入り口に向かいます。
そこには馬車がすでに停まっており、馬車に二人は乗り込んでいきます。
シャルル様に朝の騒動を聞いてみることにしたのでした。
「朝から騒がしくて驚きました」
「僕も気になったから、外に行ってみたのだけれど、どうやら通行人同士の喧嘩でそれを止めてる人や騒ぎで大勢の人がいたようだよ」
「そうだったのですか。朝からあれほどの人がいたの大勢いたので」
「確かにあれは、朝からあれほどの人がいたら驚くかもしれないね」
ルーナは、まだ言えていなかったことをシャルルに伝えます。
「あ、あのシャルル様ラベンダーの小瓶ありがとうございました」
「ああ、うん。喜んでくれた良かったよ」
シャルル様の何事も無かったかのように贈り物を贈ってくれる。
ルーナ横目でシャルルをみている、あのキレイな横顔をただ眺めていた。
随分長いこと馬車に揺られていた。
田舎町からやって来たからなのか見る景色が変わり始め、畑や羊などの動物は少なくなり
高い建物が増えていって人が多くなっていきました。
すると、窓の景色を見ているとが沢山の人々がある一定の場所に集まっていて溢れ返っているのが馬車の中では見えましたが少し遠くにあるため何があるのかはよく見えずあの場所に何があるのか急いで、シャルル様に尋ねてみることにしました。
「シャルル様、あれの人だかりは何でございますか?」
「あれは、マーケットといって野菜とか食器とかなどのものが売っている店だよ。ルーナ、行ってみたいかい?」
「い、行きたいです」
マーケットの近くまで馬車を近づけると沢山の人々で各々欲しい商品を見定めて買い物をしています。
馬車を下りると、入り口近くには、沢山の人々が集まっています。
ルーナとシャルルは人混みを掻き分けて商品を見て回ります。
果物、食べ物、服、アクセサリー、どれもこれもルーナには、瞳には新鮮に映っていたのでした。
「シャルル様、本当に沢山の様々なものが売っていますね。圧倒されてしまいます」
「そうだね。ルーナ、気になる店は見つけたかい?」
ルーナは悩んでいるとアクセサリーが並んだお店を見つけ、ここに立ち寄ることにした。
「いらっしゃい」
お店の女性店主は優しい顔で迎えてくれる。
ネックレス、指輪、耳飾り、ブレスレット、ピンズなどがキレイに陳列されている。
ルーナはその中で小さな花びらが散りばめられた髪飾りに目を引かれ手に取り見ていると女性店主ルーナに話しかける。
「お嬢ちゃん、お目が高いね。どうだい?」
「い、いえ大丈夫です」
ルーナは髪飾りをもとに戻してします。
「次に行きましょう、シャルル様」
その後もルーナは、見るだけで欲しいと言わなかったのです。
すると、シャルルがその様子を見かねて口を開く。
「本当に何も買わないのかい?」
「はい、見ているだけでとても楽しいですから」
その後、マーケットを出ると近くのレストランで食事を済ませると、また馬車に乗り込む。
この後も長い間馬車に揺られルーナたち夜になり、また宿に泊まることになった。
部屋でルーナが今日も日記を記している。
『マーケットという場所に始めての行った。そこには沢山のものが売っていて、果物、服、アクセサリーなどがあり見ているだけでも楽しかった。また行きたいと感じた』
そして、三日目がやってきた。
ルーナは、ベッドから起き上がると伸びをした。
今日はいつもよりも早く支度を終えると、隣のシャルル様の部屋に向かう。
そっとドアをノックすると、スーツ姿でシャルル様が迎えてくれた。
(もう起きていたのね)
「ルーナ、おはよう」
「おはようございますシャルル様」
「もう支度を終えたんだね。僕はもう少しで終えるから僕の部屋で待っているかい?」
「はい。では待たせていただきます」
一人用のソファにルーナは座ると、シャルルはトランクの中に荷物を積めていた。
ルーナはキョロキョロとどこに視線を定めればよいのか迷っていた。
(シャルル様を見てたら迷惑だよね。どこを見ればいいの~)
「ルーナ、こちらにおいで」
そんなことを一人考えていたときにルーナはシャルルに名前を呼ばれた。
「はい」
ルーナは立ち上がるとシャルルのもとに行く。
「手を出して」
何がなにか分からないままルーナは手を出すと、シャルルはそっと手に何かを乗せたのでした。
手には髪飾りがありそれは前の日にマーケットでルーナが素敵だと思った花びらが散りばめた髪飾飾りでした。
「どうして」
「ルーナにとても似合うと思ってね」
「ありがとうございます」
「着けてもよろしいですか?」
「もちろんだよ」
ルーナは髪飾りをつけるとシャルルに付けた姿を見せる。
「どうでしょうか?」
「うん。とても似合っているよ」
ルーナの長く美しい黒髪に髪飾りが映えていたのでした。
朝食は宿に併設されているレストランで食事を済ませたのでした。
外に出るとルーナは空を見上げると青く透き通った空がそこには広がっていた。
あともうすぐでシャルルの屋敷がある水の都、フルスに近づいているのを感じるルーナなのでした。
また馬車にふたりは乗り込むと、前の日よりももっと長い長い道のりを馬車は進んでいくのでした。
ルーナは教会を出発してからの出来事を振り返っていたのでした。
私がこの選択をしなかったら土地でしか味わえない食べ物や景色をシャルル様と共に楽しむことが出来なかっただろうしこんなにも沢山の笑顔を見せることはなかったのだと思う。
シャルル様といると、何故だか自然に笑顔になってしまう自分がいることに私自身が驚いてた。
シャルルは窓の外を眺めていたが、ルーナの視線を感じたのかルーナに視線を移す。
「どうかしたかい?」
「いえ、何でもありません」
「そう」
シャルルは窓の外に視線を戻し、ルーナもシャルルから視線を外し窓の外に視線を移したのでした。
ルーナがあくびをするのを手で隠すのを見たシャルルはいいます。
「疲れただろう。眠るといい」
そういうとシュルルは席を移動し、ルーナに肩を貸してくれるというのです。
ルーナは最初は申し訳なくてからだに力を入れていましたが、深い眠りにつくと完全にシャルルに寄り掛かって眠っていたのでした。
ルーナはその頃不思議な夢を見ていたのでした。
何処かの草原のようで、遠くには家々が見えており一人の男性がこちらに近づいてくるのが分かります。
どうやらその側には、女性がいるようで何かふたりは楽しそうに話しているようで、何を言っているのかくぐもって聞き取れない。
夢の中の私はその人たちの顔を見ようとするが、眩しく光っていて顔をよく見ることが出来ないのです。
なんだろうこの夢は……。
「ルーナ、ルーナ」
シャルル様の声がします。
「もう少しで着くよ」
ルーナは瞳を開けると、まだ眠たいままの意識がはっきりとしない中でシャルルの肩から起き上がります。
「シャルル様」
「おはようルーナ」
「ルーナ、窓の外を見てごらん」
シャルル様に言われるまま私は窓の外に視線を移すと教会よりも大きな建物のに外壁が細かい細工された建物、石像、そして沢山の人々が歩き馬車などがひっきりなしに行き交っていたのでした。
「うーあ」
思わず声を溢れしまう。
「どう?驚いたかい?見慣れないものばかりだろう」
「はい、私が住んでいた場所では見たことのないものばかりです」
目的地に着くまで、ルーナはずっと窓から外の景色を眺めていると、馬車が突然が止まったのです。
ルーナはシャルルに視線を向けます。
「ルーナ、着いたよ」
そういうと、馬車のドアが開きシャルルは降りていきます。
ルーナもシャルルの後に続いて降りると、ルーナの目の前に古びた屋敷が建っていたのでした。
