零時のアラームが止む時

 砂埃を上げて校舎内に入り、靴箱を通り過ぎる。今さら行儀よくしてやる必要はない。
 あと少し、あと何度かの「もう一日」を繰り返したら、今学期も終わる。
 その前にせめて、ここまでのこと全部ぶつけないと、俺も止まれない。
 廊下を進むと、けばけばしい金属プレートが貼られた教頭室のドアが見えてきた。
 尾崎からのさっきの合図で、奴がいることは確認済みだ。
 俺は拳を作って床を踏みつけ。腕と脚の感触を確かめた。

 朝は心地いい涼しさも、放課後の時間になると気分を損なう中途半端な寒さになる。
 学校近くの大通りの自販機が売ってる飲み物も冷たいとの温かいのと両方あって、俺は何かが抜けたような気分でどれを選ぶか考えようとしていた。
「……ケント、いた」
 左側から声がした。
 そっちを向くと、小型のペットボトルを持った尾崎が立っていた。俺と違ってブレザーを羽織っているけど、両腕ともシャツごと袖を大きく捲っている。
「要る?」
「いいのか?」
 いい、と言われて受け取ったのは常温の水だった。一口飲むと、それは気持ち悪いくらい滑らかに俺の体温と同化して喉奥へと流れ、溶けていった。