俺は反射的に隣と背後を見た。それくらい、声が本物じみていて。
だけど当然その持ち主はいなくて、代わりに昔の光景が俺の頭の中で再現されだした。
この部屋、この位置。三年前、中一の初夏。俺は兄に誘われ一緒に夜更かしをしていた。
兄は机前の椅子に座って、寝たがる素振りも見せないで手元の本とこの目覚まし時計ばかりに集中していた。
構ってもらえないことで拗ねるほど俺は子供ではなかったが、そんな兄の姿に見える以上のものを理解できるほど大人でもなかった。
静かな時間が過ぎ、時計の針が揃った時、兄は深めに息をして言った。
――無事、来たな、もう一日が。
――……よかったな。
後の言葉は、ほとんど独り言だった気がする。それでも意識して聞いていた俺に、兄は笑って向き合った。
この目覚まし時計にしろ、本にしろ、兄は多方面でアナログの物を好む人だった。だけどこの時は意識したみたいにスマホの画面を、証拠とばかりに俺に見せた。
そこに出ていた「明日」の日付に、あの時俺は震え上がった。
だけど当然その持ち主はいなくて、代わりに昔の光景が俺の頭の中で再現されだした。
この部屋、この位置。三年前、中一の初夏。俺は兄に誘われ一緒に夜更かしをしていた。
兄は机前の椅子に座って、寝たがる素振りも見せないで手元の本とこの目覚まし時計ばかりに集中していた。
構ってもらえないことで拗ねるほど俺は子供ではなかったが、そんな兄の姿に見える以上のものを理解できるほど大人でもなかった。
静かな時間が過ぎ、時計の針が揃った時、兄は深めに息をして言った。
――無事、来たな、もう一日が。
――……よかったな。
後の言葉は、ほとんど独り言だった気がする。それでも意識して聞いていた俺に、兄は笑って向き合った。
この目覚まし時計にしろ、本にしろ、兄は多方面でアナログの物を好む人だった。だけどこの時は意識したみたいにスマホの画面を、証拠とばかりに俺に見せた。
そこに出ていた「明日」の日付に、あの時俺は震え上がった。

