そしてドアが閉まった数分後、ふとした違和感を覚えた。
その夜のアラームはいつもより執拗だった。
その時、俺はベッドに兄の私物の本を読み続けていて、それは故障したサイレンみたいに繰り返し、繰り返し鳴った。日付が変わったことを伝えるその音は俺が存在を認識しても止まらず、気がおかしくなると思った。
「……っ!」
ついに本を閉じて布団の上に放って体を折ると、やっと脳内が静かになった。息をして、汗を拭って、痺れた手で本を拾う。
兄の部屋に行くと、暗い中、本棚より先に机の端の目覚まし時計の輪郭に目が行った。
俺は飛びつく勢いでそれを掴んだ。
止まっている。そのはずだ。それを確かめて、俺は憔悴した気分で部屋に戻った。
「……くそ」
動画絡みだけじゃない。兄のことも。
なんとか片付けようとしていた、恨み、混乱、怒り。そして、無様にも解決をしようとしてた、自分の弱み。
全部、尾崎と話すことで認識し直す羽目になった。その存在も、少しも治ってないことも。それなのに、日にちだけはずっと連なっていることを。その事実が、俺の神経や精神を逆撫でしては傷をつける。
その夜のアラームはいつもより執拗だった。
その時、俺はベッドに兄の私物の本を読み続けていて、それは故障したサイレンみたいに繰り返し、繰り返し鳴った。日付が変わったことを伝えるその音は俺が存在を認識しても止まらず、気がおかしくなると思った。
「……っ!」
ついに本を閉じて布団の上に放って体を折ると、やっと脳内が静かになった。息をして、汗を拭って、痺れた手で本を拾う。
兄の部屋に行くと、暗い中、本棚より先に机の端の目覚まし時計の輪郭に目が行った。
俺は飛びつく勢いでそれを掴んだ。
止まっている。そのはずだ。それを確かめて、俺は憔悴した気分で部屋に戻った。
「……くそ」
動画絡みだけじゃない。兄のことも。
なんとか片付けようとしていた、恨み、混乱、怒り。そして、無様にも解決をしようとしてた、自分の弱み。
全部、尾崎と話すことで認識し直す羽目になった。その存在も、少しも治ってないことも。それなのに、日にちだけはずっと連なっていることを。その事実が、俺の神経や精神を逆撫でしては傷をつける。

