頭の中は固まってて目の前はよく見えなくて手足の感触もわからなかった。
ただテーブルと椅子の陰に隠れて、ずっと動かないでいた。
「ああ言われた二日後」
ふと思い出して、話す。
「朝からすごい雨が降ってた日、靴箱の近くに教頭がいた。で、向こうは俺を見つけるなり、『うちのチャンネルについてだが……』って話を始めやがるの」
尾崎の表情が歪む。
初めて聞く話だ。当然だろう。
俺は自虐的に笑ってみせた。
「……あの時感じたのが『殺意』か、って思った。傘持ってたし、これでぶん殴ってやろうかって。……まあ、しなかったけど」
「しなかったんだ」
俺は頷いた。
「あんな奴を殴る用途で使われたんじゃ、むしろ傘に悪い気がして」
そこで尾崎は軽く笑った。
「そういうの嫌いじゃないけど。……そっか」
俺と同じタイミングで実行委員会に入った尾崎はたまたま部屋の入口で教頭が怒鳴り散らすのを聞いていたと、後から俺に言った。
途中からその音声を録音していた、とも。
あれは、ない。証拠もあるんだし告発くらいしてもいいんじゃないの?
ただテーブルと椅子の陰に隠れて、ずっと動かないでいた。
「ああ言われた二日後」
ふと思い出して、話す。
「朝からすごい雨が降ってた日、靴箱の近くに教頭がいた。で、向こうは俺を見つけるなり、『うちのチャンネルについてだが……』って話を始めやがるの」
尾崎の表情が歪む。
初めて聞く話だ。当然だろう。
俺は自虐的に笑ってみせた。
「……あの時感じたのが『殺意』か、って思った。傘持ってたし、これでぶん殴ってやろうかって。……まあ、しなかったけど」
「しなかったんだ」
俺は頷いた。
「あんな奴を殴る用途で使われたんじゃ、むしろ傘に悪い気がして」
そこで尾崎は軽く笑った。
「そういうの嫌いじゃないけど。……そっか」
俺と同じタイミングで実行委員会に入った尾崎はたまたま部屋の入口で教頭が怒鳴り散らすのを聞いていたと、後から俺に言った。
途中からその音声を録音していた、とも。
あれは、ない。証拠もあるんだし告発くらいしてもいいんじゃないの?

