まったくの未経験からのオリジナル動画制作で、その出来と反応が自分と学校の未来を左右するかのように言われてる。完成や成功に少し近づいたと思ったら状況を何も知らない奴に微妙な反応をされて、することの多さとできないことの多さ、プレッシャーの強さに、この動画以外のことを考える隙間が自分の精神から消えたように感じてもいたと思う。
 なのに、九月半ばになって教頭に突然「ドキュメンタリーも作りたい」と言われた。
 俺は了承するしかなく、また企画から繰り出した。すると同じように段階ごとに教頭が口出しをしてきた。二度ずつ同じことを体験する羽目になって気分は悪くなる一方だった。
 なのに、続けるしかなかった。
 中止希望を出しても聞いてもらえそうになかったし、こっちの独断で作業を止めた場合の、次に進捗を訊かれた時の想像がおぞましかったからだ。
 そんな、惰性的か意識的かわからない状態で、俺はある日の放課後に編集作業をしていた。素材も編集ソフトやその他の道具も全部学校にしか置いてないのだから、当然だ。
 そこから、どういう流れでそうなったのかはもう記憶にない。