そこからも、教頭は繰り返し直接進捗を求めに来た。さすがに俺たちも、今回はスルーできないと判断するしかなくなった。
 そこから忙しくなった。
 参考用の動画を探して、分析する。見よう見まねで台本や絵コンテを作る。そもそも存在してなかった学校の動画配信チャンネル作りを依頼する。出演交渉をする(期待ほど周囲は協力的じゃなく「募集中です」という途中報告をすると教頭は露骨に嫌な顔をした)。予算を妥協してカメラ、三脚、マイク、照明機材を買う。編集ソフトも購入する(教頭に「そんなに金がかかるのか?」と言われた)。使い方を勉強する。撮影スケジュールを組む(自分が入れたい内容に合わせて教頭に構造の丸ごと作り直しを強制された)。出演者用の免責や同意の書類を作る。撮影とリテイクを繰り返す(教頭に「まだそこまでしかできてないのか?」と言われた)。編集をしてみる。試作中の動画を委員会に見せる(その時会議を邪魔してた教頭に「そのクオリティじゃ使えない」と言われた)。問題点と解決方法を調べる。また視聴する。また編集する。
 正直、きついことばかりだった。