運がないとはこういうこと

 待ち伏せした。
 犯罪?それほどでもない。
 事の発端は、大学1回生の頃。好みの女の子の話になり、「あの子いいね。」などと言った為、同級生が唆した。
 アパートは、同級生が調べた。
 丁度、大学から、私達が住む学生アパートへの道のりの途中だ。
 彼女の住むアパートの向かいに、上手い具合に喫茶店があった。
 喫茶店で2時間粘った。
 さらに1時間。
 彼女が帰宅した。
 焦って、彼女と部屋の入口ドアの所で押し問答した挙げ句、私は帰宅した。
 ハッキリ言って、無残な振られ方だった。
 偶然、ドアに私の靴が入ってしまい、彼女は蹴って、押し戻した。
 後日、彼女から手紙が来た。
 と言っても、他の同級生の女の子からのリレー。
 一生懸命書いたのだろう。『恨む』と『憎む』を混同していた。
 我に返った。

 後で、彼女と部活が同じ同級生男子に教わった。
 彼女は部活の先輩と既に同棲していた。
 あの騒ぎの部屋の奥に、彼はいたのだ。
 だから一瞬たりとも入れる訳にはいかなかったのだ。

 40年近く経って、最初で最後の同窓会の時に『交際押しかけ』を『自虐ネタ』で披露した。
 が、「俺も好きだった」と告白した奴がいた。
 私は、終電までに帰宅しなければいけなかった。
 同窓会どころでは無かった。
 まだ、介護生活の最中だった。

 その夜、『2人』がどこのホテルに泊まったか、なんて想像したくもなかった。
 でも、その後の態度で『アバンチュール』があったことは、明々白々だった。

 また、貧乏くじを引いた。

 そして、Lineの同窓会管理人を任せておきながら、皆は応答をあまりしなくなった。
 調べて見ると、「既読スルー」というのは、たとえ話ではなく、基本機能だった。
 応答が成り立たなくなった訳だ。流行病のこともあったかも知れないし、情報が漏れやすいアプリだということも言われていた。
 そのどちらかが理由なら、こう言えば良かった。
 「暫く休止」しよう。
 私は、管理人の権限でグループを閉鎖した。暑中見舞いで「予告」した上で。

 私は、いつも正直であるが為に損をしてきた。

 誰かの悪意でコントロールされているのなら、また、どこかで『待ち伏せ』しているのかも知れない。

 その時は、こう言うさ。「知ってたよ。知らない振りしてたのさ、役者だから。」

 ―完―


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