家に帰ると、そのまま自分の部屋に入り、ベッドに仰向けになった。

吉川のことが頭から離れない。

月曜になったら、普通に登校してきた吉川が、『あれは冗談だよ』と笑ってくれる。そう願ったけど、恐らくないだろう。そんな不謹慎な冗談を言う奴じゃない。まだ一年ちょっとのつき合いだけど、それだけは分かる。

目を瞑ると、吉川の笑顔が浮かんだ。だけどそれがちょっとだけ切なく見えるのは、余命を知ってしまったからだろうか。

正直、知りたくなかった。俺なんかが知ったって、何もしてやれない。俺じゃなくて、伊東だったらもっと吉川の力になってあげられたかもしれないのに……。

こんな時でも他の奴と比べてしまう自分に苛立ち、「くそっ」と呟きながら枕元にあったスマホを手に取り、壁に向かって投げつけた。