死んだ彼女が遺した日記

余命というのはあくまで目安であって、もっと長く生きられる可能性だってじゅうぶんあったと思う。けれど同時に、三ヶ月と経たないうちに亡くなる可能性もあるということを、俺はまったく考えていなかった。

死んでしまうという事実だけでも頭がいっぱいだったのに、そんなふうに考える余裕はなかったのだから当然だ。

あれこれ悩む時間なんてないくらい、吉川の死は急だった。急すぎて、何を悔いればいいのかも分からずに、ただ無意味に時間だけが流れた。

吉川の死から一ヶ月後に体育祭は行われたが、あまり盛り上がらなかった。

特に俺たち二年は、無理に元気を出そうという空気が逆に痛々しくて、終わったあとにクラスの女子は全員泣いていた。涙の理由はもちろん、そこに吉川がいないからだ。

伊東を含む男子も数人、目を潤ませて必死に涙を堪えていたが、それでも俺はやっぱり泣けなかった。

こんな時でさえ、素直に涙を流せる奴が羨ましいと思ってしまう自分が、どうしようもなく嫌だった。

だけど、いつまでも悲しんでばかりはいられない。それをみんなも分かっているからか、一学期の期末テストを終えると、吉川がいないことにクラス全体が少しずつ慣れていっているように思えた。

当然の流れだけど、そんなクラスの雰囲気とは反対に、俺の心は日に日に吉川への想いで溢れていった。

悲しいとか会いたいとか、そんな簡単な言葉では言い表せられない。

そんな、どうしようもなくやるせない気持ちを抱き続ける俺に、思わぬ贈りものが届いたのは、夏休みに入って一週間ほど経った日。

吉川の死から、二ヶ月半が過ぎた時だった。