頂点の上を見つめて




 木造建ての古民家を思わせる書店の入り口に立つ。胸を押さえるといつもより早くそれが動いている心地がした。


 興奮と緊張。その二つが複雑に絡み合っているのだと思う。深く息を吸ってから、中へと足を運ぶ。


 入ればどこを見ても本が目に映るくらいに、たくさんの書籍たちが僕を迎えてくれた。また鼓動が早くなる。ここに僕の夢の集大成があるのだと思うと。


 逸る気持ちを抑え、少し前の過去を思いながら、ゆっくりと本棚の隙間を通りすぎて行く。


 気づけば小説を書いてから、五年が経っていた。書けば書くほど、楽しくなってきて。


 妹はあれから手術をして、今も通院しているけれど、元気な姿で読書を楽しんでいる。


 小学六年生の誕生日に、便利な電子機器をプレゼントしてもらって、それが執筆活動を後押しした。


 有名な短編コンテストに応募して、いろんな人に物語が届きますようにって結果が来るまで祈っていたことが昨日のことのように覚えている。


 そして驚くべきことに、祈りは空に届いて僕は受賞することができた。


 物語の世界に浸る妹と、その結果がきっと僕の大きなモチベーションになったんだと思う。


 最初は、妹に喜んでほしくて書いてたのに、いつの間にかそれが自分の生き甲斐となっていた。


 それから何度も受賞を重ねて、中学二年生で出版の話にもなった。


 すごく嬉しくて、嬉しすぎて。これから色んな人たちに僕が紡いだ物語を読んでもらえると思ったら。