『文化祭一緒に回らない?』
教室に書かれたクレープという文字みたいに甘ったるい誘いが、まだ頭の中でぐるぐると巡っている。
私のクラスではクレープ屋さんを出店するみたい。もちろん私の意見じゃなくて、影響力のある生徒の意見から。
クレープの種類とか、値段とか。値段は500円から600円に、種類は秋の旬の食材を使ったものにするみたいで、私だったら上からメープルシロップのかかったクレープが食べたいなぁって思いながら黒板を眺めていた。
なのにその思考はさっきからあの言葉によって中断されてばかり。全部大空くんのせい。
「次は役割分担に移ります」
面白くない話になり、私はこっそりと小さな画面を開いた。指で物語を紡いでゆく。
お母さんのために、そして傷ついた自分の心を少しでも癒すため。



