今にも飛びかかりそうな形相でダランカルは身構え真生を睨んでいた。鋭く長い爪が、キランっと光っている。この爪からは漆黒のオーラみたいな物が微かに漏れていた。
 この漆黒のオーラは魔族特有の邪悪なるエネルギーであり所持者を強化しているのだ。
 なぜ爪から漏れているようにみえるのか、それは邪悪なるエネルギーを爪に集中させているからである。
 そんな中、真生は【ハタキ】を使い攻撃する方法を考えていた。

 不安、怖いと言いながらも冷静である。

 (そういえばハタキで何ができるんだ? 見た目は只のハタキだし……)

 ハタキを握り締め真生は悩んでいた。
 それを感知したかのように【ハタキ 攻撃スキル】と【埃を払う・威嚇する】のように脳裏へ浮かび【どちらを使いますか?】そう問いかけられる。

 (ハタキで威嚇? どういう事だ。埃を払うって云うのは分かる。威嚇が気になったし……そうしてみるか。威嚇する、でどうだ!)

 そう心の中で言い放つと真生の持っているハタキは鱗粉が舞っているように光り輝いた。
 それをみて真生はハタキを持ち直しダランカルへ向ける。
 ダランカルは攻撃体勢に入ったことに気づき地面を思いっきり蹴りダッシュし真生に襲いかかろうとした。

 《ハタキ 攻撃スキル 威嚇する 発動!!》

 そう言い放ちながら真生は向かいくるダランカルに目掛けハタキを思いっきり振りきる。
 それと同時にハタキから鱗粉のような光がダランカルに向かい放たれた。
 意味が分からないダランカルは、そのまま突っ込み鱗粉のような光を真面に浴びる。
 その瞬間ダランカルは誰かに怒られて恐怖したような気持になり体中から大量の汗をかき身を震わせた。そして一歩ずつ徐に後退している。

 「う……なんだ、こんな気持ちになったことがない。目の前のヤツは只……武器を振っただけだぞ」

 気持ちは真生を攻撃しようと思っていた。だが体は言うことを聞いてくれず真生から遠ざかる。

 (なるほど……ダランカルってヤツの表情を見る限りだと【威嚇する】は昔の本屋であった立ち読み避けの行動か。
 まさか、こんな効力があるとはな。でも、これだけで証明できるのか?)

 そう思うが何も脳裏に浮かばなかったため真生は、とりあえず本屋の店主になった気分になって【ハタキ】を何度も振ってみた。

 「や、ヤメてくれえぇぇー!! こえぇぇよおぉぉおおおー……。もうしねぇからようー……」

 かわいそうなくらいダランカルは怯えている。

 「そろそろいいか?」

 そう思っていると【やり過ぎでしょう】そう浮かび上がった。

 (やり過ぎ……って。まあ、いいか……)

 そう心の中で言うと真生は【ハタキ】を振るのをやめる。
 だがダランカルは怖さの余り蹲ってしまった。
 終わったことを確認するとライゼアは満面の笑みを浮かべながら真生の傍に駆け寄る。そして真生の体に抱きつき、カプッと嚙みついた。

 「あーやはりマオウ様は最強ですわぁ~」
 「ああ……そうか。それよりも今は離れてくれ」

 それを聞きライゼアは残念と思い真生から離れる。

 「残念ですう……それはそうと、ダランカルの処置はどうしましょう?」

 そう問われ真生はダランカルの方へ視線を向けて、どうしたらいいのかと悩んでいた。