「魔王さまだって、コイツが? ライゼア、洗脳でもされたんじゃねえのか」

 そう言いダランカルは猟奇的な眼光で真生を睨み付けた。

 「洗脳……そうだとしても、アタシはいいと思っているわ。魔王マオウ様は、それだけの価値……強いのですもの」
 「強い? オレが見る限り只の人間にしかみえねえぞ。だが本当に魔王さまだってんなら証拠をみせてもらおうじゃねえか」

 それを聞き真生の顔は、ピクピクとひきつる。

 (証拠って……証明するものがない。それなのに、どうすればいいんだ?)

 そう考えていると真生の脳裏に【流れに身を任せましょう】そう浮かび上がった。

 (ハァー……そうだな)

 溜息をついたあと真生は真剣な顔でダランカルを見据える。

 「ほう……急に雰囲気が変わったじゃねえか」
 「ああ、それで……どうやって証明したらいい?」
 「そうだな……魔王さまなら、オレと戦ったとしても負ける訳ねえだろ?」

 そう言いダランカルは、ニヤリと笑みを浮かべ真生をみた。

 「……そんなことで証明できるなら問題ない。それで……何処でバトルをするんだ?」――……――(不安だが……能力を使えば大丈夫だよな?)
 「フッ、度胸はあるみてえだな。まあいい……じゃあ中庭で、やり合おうじゃねえか」
 「待って、ダランカル。もし魔王さまだって証明できたら、どうする気なの?」

 そう言われダランカルは、あり得ないと首を横に振る。

 「万が一なんてねえ。コイツが魔王さまなんてことはねえからな」

 ダランカルはそう言い放つと真生に、コッチにこいと促し歩き出した。
 それを視認した真生は頷きダランカルのあとを追いかける。
 そしてライゼアは、ルンルンしながら真生の後ろをついていった。

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 中庭まで来た真生とダランカルは互いに見合い身構えている。
 ライゼアは離れたところから見学していた。

 「逃げずによくついて来たじゃねえか」
 「証明するのに逃げてたらできないだろ」
 「確かに、そうだ。だが、そんな口なんか……きけなくしてやる。魔王さまを騙ったこと後悔するんだな!!」

 そう言われ真生は苦笑する。

 (騙った訳じゃないんだけどな。まあ、ここまで来たんだ。なるようにしかならないか)

 そう考えたあと真生は【毒素吸引】を使った方がいいのかと心の中で問いかけた。
 すると脳裏に【レベル2 ハタキ】そう浮かんでくる。そして【解放しますか?】の横に【YES・NO】と表示された。

 (ハタキ? って、あのハタキだよな。それを武器にするのか? もしそうなら、かなりダサいよな。
 だけど頭ん中に浮かんできたってことは、これが最適。それならイエスだ!)

 そう心の中で言い放つと真生の左の掌が眩く発光する。
 発光したことに気づき真生は右手を左の掌に添えた。すると左の掌からハタキが具現化される。それを素早く持って引き抜いたあと身構えた。

 「おいおい、まさかそんな武器で戦うってんじゃねえだろうな」
 「ああ、そのつもりだ。お前には、この武器で十分だと思っている」

 そう言うも真生は不安になっている。
 それを聞いたダランカルは馬鹿にされたと思い怒りを露わにしていた。

 二人を遠くからみていたライゼアは真生が出したハタキをみて目お輝かせている。

 (あの武器は何かしら? ですが、マオウ様の武器ですもの弱い訳ないですう)

 そう考えライゼアは真生とダランカルの戦闘が早く始まって欲しいと思い待っていたのだった。