あれから真生はライゼア、ダランカル、ナシェル、アクスファハンの四人と談話をしたあと解散した。
 そして執務室から四人と書斎に向かい真生は再び本を読んでもらいこの世界のことを学んだ。


 ……――そして翌日。

 ここは謁見の間である。
 真生はライゼア達四人と、ここに来て玉座に腰掛けた。

 「マオウ様……本当に一人で大丈夫ですう?」
 「今から逢うルウクシェスは元四魔帝の一人……心配なのじゃ」
 「そうですね。私も何もないとは思えません」
 「逢う条件が一対一だとしても鵜呑みにして、その通りにすることもねえと思いやすぜ」

 そう言われ真生は首を横に振る。

 「この条件を了承して来たのは、ダランカル……お前だよな?」
 「そうだとしたって無茶だ」
 「それなら、なんで条件をのんだ? いや……まあ俺が、どんな条件を言ってきても承諾しろ。そうは言ったがな」

 申し訳なさそうにダランカルは真生から目を逸らした。

 「すまねえです……」
 「別に責めてる訳じゃない。まあ、もし戦闘になったとしても能力でどうにかなるか」

 真剣な表情で真生は四人を見据える。
 それを聞き心配に思いながらもライゼア達四人は後ろ髪をひかれながら謁見の間をあとにし執務室へと向かった。

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 一人残された真生は不安で動悸が治らない。そう、あのように言ったが本当は怖いのだ。

 (一対一……昨日この世界のダークエルフについて調べた。性格は好戦的な種族って書いてあったな。
 そのため俺を試す気で、こんな条件を出して来たんだろう。勝てるのか……不安しかない。
 できれば戦いたくはないんだよなぁ)

 そう思い今にも吐きそうになっていた。

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 暫く自問自答を繰り返していると扉の開く音が聞こえてくる。
 気づいた真生は扉へ視線を向けた。

 「……!?」

 視線の先には誰もいない。
 気配を探るも殺気は感じず困惑する。

 (ダランカルの情報じゃ姿を消す能力なんてないはずだ。
 それとも扉を開けただけで中に入って来ていないのか?)

 そう考えるも警戒を緩めないでいた。
 目を閉じ気配を探る。

 (……そういえば、そもそも俺って気配を感じることできたんだっけか?)

 何をやってるんだと思い真生は、ハァーっと溜息をつき瞼を開いた。
 すると何処からともなく短剣が真生に向かって飛んでくる。
 そのことに真生は気づかず俯いたままだ。
 真生に向かいくる短剣は二本。それが時間差で投げられている。
 その二本の短剣は真生の右腕と右足に刺さった。いや刺さっていない。
 だが真生に命中するも二本の短剣の剣身は、パリーンっと無残にも粉々に破壊される。

 「……」

 一瞬何が起きたのか分からず真生は絶句してしまった。だが、すぐ我に返り青ざめた。
 短剣が二本も自分の体にあたったことそれと、あり得ない防御力にだ。
 この防御力がなければ間違いなく大怪我をしていただろう。
 真生の額から汗が、ポタリと流れ落ちる。
 何処から短剣が放たれたのかと向かって来ただろう方を見回した。

 「ワハハハッ……コリャ、スゲエッ! 予想以上だ。だが、オレの居場所をみつけられないようだな」
 「クッ……なんのつもりだ!? 出てこい! 俺を馬鹿にしているのか?」
 「あー怒っちゃったか。まあ十二分に実力が分かったから……いいか」

 そう言いルウクシェスは真生の目の前に現れる。
 そんなルウクシェスに対し真生は余程ムカついたのか鋭い眼光で睨んでいた。