中腰になり真生は怯え震えているアクスファハンを覗き込んだ。
「悪いな。こんなことをするつもりはなかった。だが……魔王の座を譲る気はない」
「そ、それは……いえ滅相もございません。もう、そのようなことをするつもりなど。それよりも貴方さま……いえ魔王さまに申し訳で済まないことをしてしまった」
だいぶ変わったようだ。余程、怖かったのだろう。
それだけじゃない認めざる得ないものを真生から感じたのである。
「それは構わない。誰かが命を奪いにくるだろうと思っていたからな。それにしても向かって来たのが、お前だけなのは驚きだ。まあ……戦闘にはならなかったが」
「戦闘にならなかったのはいいですが。アタシの出番がなかったですう」
「いや、あったよな。俺を正気に戻してくれただろ。ありがとう……助かったよ」
それを聞きライゼアは嬉しさのあまり真生に抱きつき肩に噛みついた。
「ツウ……う、まあいいか。それだけだぞ」
許しをもらいライゼアは真生の血を堪能したあと離れる。
「そういえば……お前は本当に、あのライゼアなのか?」
「アクスファハン……勿論ですう。マオウ様が能力でアタシの悪いものを全て消し去ってくれたのですわ」
「そうです、か。狂暴だったライゼアを変えてしまうほどの力を持っている。早くそれに気づくべきだった」
そう言いアクスファハンは上体を起こし真生へ視線を向けた。
「ですが、なぜ私を殺さないのですか?」
「なぜそう思う?」
「私は魔王さまの目の前で大見得を切った上に何もできなかった。殺されてもおかしくない行いをしたと云うのにです」
それを聞き真生は呆れた顔をしている。
「お前は只、魔王になりたいから俺のことを認めたくなかった。そのため力を使わず威圧……気を放って俺の力量をはかったんだよな?」
「それは……」
「それ以上は言わなくていい。俺は怪我も何もしていないからな。それよりも何もしていない、お前を俺は殴ったんだ。悪い、すまなかった」
謝罪し頭を下げている真生をみてアクスファハンは驚いた。
「先程とは別人のようだ。これは、どうなっているのですか?」
「俺にも良く分かっていない。だが、お前の気に反応して暴走したらしいな」
「そうなると……普段は、そのように穏やかなのですね」
そう言いアクスファハンは、なるほどと納得する。
「穏やか……そうか、お前たちからすれば……そうみえるんだな」
「違うのですか?」
「いや……否定した訳じゃない。只そうみえるなら改善していかないと、か」
真剣な顔で真生は無作為に一点をみつめた。
「無理に変えなくてもいいと思うのですが? あまり周囲に反感をかうようでは命が幾つあっても……まあ魔王さまは問題ないでしょうけれど」
「ウンウン、アクスファハンの言う通り……マオウ様は今のままで十分ですう」
「そうは云うが……舐められても困る」
それを聞きライゼアとアクスファハンは、それもそうだと納得する。
「そうだなぁ……アクスファハン。俺が覚醒するまでの間でもいい。護衛的なことをしてくれないか?」
「と……言いますと。魔王さまに盾突く者がいたら抹殺しろという事ですね」
「抹殺……まあ、そうだな。それは、お前に任せる」
暗い顔で真生は俯いた。
「クスッ……承知しました。なるべく殺さないように懲らしめ捕らえようと思います」
そう言いアクスファハンは頭を深々と下げる。
「いえ、それだけではなく……お許しを頂けるのであれば覚醒後もそばに仕えさせて頂きたいのですが?」
「それは助かる。そう言えば名乗っていなかったな。俺はマオウだ」
「……なるほど……魔王マオウ様。それは本当の名前なのでしょうか?」
そう問われ真生は首を横に振った。
「いや……本当の名は、マオ・カリノだ」
「えっ!? マオウ様は、マオ様??」
「ああ、そうだ。どうせ間違われるなら、そのままマオウでいいかと思った」
苦笑し真生は二人をみる。
「アタシとしたことが……どうしましょう」
落ち込みライゼアは俯いた。
「名前なんか、どっちでもいい。呼びたい方でな」
それを聞いて喜びライゼアは「はい、ありがとうございますう。では今まで通り、マオウ様と呼びますね」と言い魔王に抱きつき首筋へ噛みつく。
もうどうにでもなれで真生は、ライゼアにされるがままである。
「マオ……マオウ。なるほど、そういう事ですか。では私は、マオ様とお呼びしたいと存じます」
「それでいい。さて、どうする? まだ気絶している者が多数いるが」
「そうですね……」
そう言い周囲をみたあとアクスファハンは、どう処理するか考えた。
「悪いな。こんなことをするつもりはなかった。だが……魔王の座を譲る気はない」
「そ、それは……いえ滅相もございません。もう、そのようなことをするつもりなど。それよりも貴方さま……いえ魔王さまに申し訳で済まないことをしてしまった」
だいぶ変わったようだ。余程、怖かったのだろう。
それだけじゃない認めざる得ないものを真生から感じたのである。
「それは構わない。誰かが命を奪いにくるだろうと思っていたからな。それにしても向かって来たのが、お前だけなのは驚きだ。まあ……戦闘にはならなかったが」
「戦闘にならなかったのはいいですが。アタシの出番がなかったですう」
「いや、あったよな。俺を正気に戻してくれただろ。ありがとう……助かったよ」
それを聞きライゼアは嬉しさのあまり真生に抱きつき肩に噛みついた。
「ツウ……う、まあいいか。それだけだぞ」
許しをもらいライゼアは真生の血を堪能したあと離れる。
「そういえば……お前は本当に、あのライゼアなのか?」
「アクスファハン……勿論ですう。マオウ様が能力でアタシの悪いものを全て消し去ってくれたのですわ」
「そうです、か。狂暴だったライゼアを変えてしまうほどの力を持っている。早くそれに気づくべきだった」
そう言いアクスファハンは上体を起こし真生へ視線を向けた。
「ですが、なぜ私を殺さないのですか?」
「なぜそう思う?」
「私は魔王さまの目の前で大見得を切った上に何もできなかった。殺されてもおかしくない行いをしたと云うのにです」
それを聞き真生は呆れた顔をしている。
「お前は只、魔王になりたいから俺のことを認めたくなかった。そのため力を使わず威圧……気を放って俺の力量をはかったんだよな?」
「それは……」
「それ以上は言わなくていい。俺は怪我も何もしていないからな。それよりも何もしていない、お前を俺は殴ったんだ。悪い、すまなかった」
謝罪し頭を下げている真生をみてアクスファハンは驚いた。
「先程とは別人のようだ。これは、どうなっているのですか?」
「俺にも良く分かっていない。だが、お前の気に反応して暴走したらしいな」
「そうなると……普段は、そのように穏やかなのですね」
そう言いアクスファハンは、なるほどと納得する。
「穏やか……そうか、お前たちからすれば……そうみえるんだな」
「違うのですか?」
「いや……否定した訳じゃない。只そうみえるなら改善していかないと、か」
真剣な顔で真生は無作為に一点をみつめた。
「無理に変えなくてもいいと思うのですが? あまり周囲に反感をかうようでは命が幾つあっても……まあ魔王さまは問題ないでしょうけれど」
「ウンウン、アクスファハンの言う通り……マオウ様は今のままで十分ですう」
「そうは云うが……舐められても困る」
それを聞きライゼアとアクスファハンは、それもそうだと納得する。
「そうだなぁ……アクスファハン。俺が覚醒するまでの間でもいい。護衛的なことをしてくれないか?」
「と……言いますと。魔王さまに盾突く者がいたら抹殺しろという事ですね」
「抹殺……まあ、そうだな。それは、お前に任せる」
暗い顔で真生は俯いた。
「クスッ……承知しました。なるべく殺さないように懲らしめ捕らえようと思います」
そう言いアクスファハンは頭を深々と下げる。
「いえ、それだけではなく……お許しを頂けるのであれば覚醒後もそばに仕えさせて頂きたいのですが?」
「それは助かる。そう言えば名乗っていなかったな。俺はマオウだ」
「……なるほど……魔王マオウ様。それは本当の名前なのでしょうか?」
そう問われ真生は首を横に振った。
「いや……本当の名は、マオ・カリノだ」
「えっ!? マオウ様は、マオ様??」
「ああ、そうだ。どうせ間違われるなら、そのままマオウでいいかと思った」
苦笑し真生は二人をみる。
「アタシとしたことが……どうしましょう」
落ち込みライゼアは俯いた。
「名前なんか、どっちでもいい。呼びたい方でな」
それを聞いて喜びライゼアは「はい、ありがとうございますう。では今まで通り、マオウ様と呼びますね」と言い魔王に抱きつき首筋へ噛みつく。
もうどうにでもなれで真生は、ライゼアにされるがままである。
「マオ……マオウ。なるほど、そういう事ですか。では私は、マオ様とお呼びしたいと存じます」
「それでいい。さて、どうする? まだ気絶している者が多数いるが」
「そうですね……」
そう言い周囲をみたあとアクスファハンは、どう処理するか考えた。



