決心したものの真生は不安になっていた。
　そう脳内に思念を送っていた者からのアドバイスは真生が怒らせたため暫くないからである。

　（ハァー……これを自力で解決しないとならない。ダランカルの言う通り、すんなり魔王と認めないだろう。
　それが普通だ。だが、やらないと塔に行けないし……）

　頭を抱え自問自答を繰り返していた。

　「急にどうしたのですう？」
　「ライゼア……さっきも話したことだ。思念を送ってアドバイスをくれてたヤツを怒らせたせいで、どんな能力があって攻撃するか分からない」
　「能力か、そのことについては分からん。だが訓練して自らつくりだせねえのか？」

　そうダランカルに問われ真生は首を横に振る。

　「そんな簡単にできるなら……こんなに悩んじゃいない」
　「異世界の者については分かるのじゃ。だけど確か以前に現れた勇者は不思議な能力を使ったと思ったがのう」
　「ナシェル、それは本当か？　その勇者は、どうやって能力を発動させたんだ！」

　そう言い真生は、バンッと机上を思いっきり叩き立ち上がった。

　「それは分からないのじゃ。でも前勇者について調べれば分かるかもしれぬ」
　「そ、そうか……じゃあ今すぐは無理だな」

　ハァーっと溜息をつき真生は残念に思い肩を落とし、そのまま椅子に座る。

　「他に方法はないのですう？」
　「どうだろうな……俺の居た世界の小説や漫画、アニメみたいにステータス画面のような物が表示させられれば」
　「なるほどなのじゃ。それは試したのかのう？」

　そうナシェルに言われ真生は、そういえば試していないと思い目を閉じ知っている限りの方法をやってみた。

　「魔王さま……瞑想でもしているのか？」
　「急に黙ってしまったのじゃ」
　「まさか怒っていませんよね？」

　あまりにも真生が沈黙し俯いていたので三人は何かあったのかと心配する。

　「……すまない。ステータス画面のような物が出ないかと少し色々試している。只、今のところイメージだけじゃ駄目だ」
　「マオウ様の能力を使ってもなのですう？」
　「能力……試してみるか。只、関連する物を探さないといけない。少し考えて試してみるから待っててくれ」

　真生に言われ三人は分かったと頷いた。

　（俺の能力【掃除】に関係する……ステータス画面を表示させるような物って想像つかないんだが）

　そう考えていると脳裏に【クスクス……分からないようね。まあ精々ひ(・)と(・)り(・)で(・)頑張ってください】そう浮かんでくる。

　（いい加減にしろ！　元々は、お前が俺をこの世界に召喚したんだろうがあぁぁあああ～……）

　そう心の中で叫び真生は今にも泣きそうだ。
　その様子をみてライゼアとナシェルとダランカルは大丈夫なのかと思い真生のことを心配する。
　だが自分たちには何もできないと思い歯がゆいい気持ちで待機していた。

　（ハァー……何かあるはずだ、ステータス画面を出す方法が。それが何か分かれば……）

　そう思いながら窓の方を向いてみる。

　（窓……窓拭き。仕草は、それっぽいが……まさかな）

　そう考えるも、もしかしたらと思い手を前に翳した。

　《スキル【窓拭き】　ステータスオープン!!》

　真生はそう言い放ち翳している手を窓を拭くように動かしながら「こんなことで能力が発動する訳ないよな」と顔を赤くする。

　「……」

　しかし思いと裏腹に真生の眼前に透明なステータス画面が浮かび上がってきた。それをみて真生は絶句する。

　「現れた！　ステータス画面だ」

　そう真生が言うと三人は良かったと喜んだ。
　そして真生は、その後ステータス画面を確認し始める。
　その様子をライゼアとナシェルとダランカルは見守っていた。