ここは真生が仮眠している寝室。真生の横では、なぜか裸になりライゼアが添い寝していた。

 「……」

 部屋の中に入るなりナシェルは絶句する。

 (あー……みてはいけないものを……。うむ……なるほど、これはライゼアに先を越されてしまったのじゃ。でも、まだ間に合う……)

 ピクピクと顔を引きつらせナシェルは真生が眠るベッドへ歩みよった。
 ベッドの傍までくるとナシェルは、いきなり服を脱ぎ始め真生の上に覆い被さる。

 (…………んーん? トマト二個に小玉スイカが二個? いや……温かいぞ。人……二人……!?)

 自分の上に人の温もりを感じ真生は何事かと思い慌てて瞼を開き眼前に居るナシェルをみたあと自分の脇に寝ているライゼアに視線を向けた。

 「う、うわあぁぁあああ~……」

 驚き悲鳴を上げ飛び起き真生は、ナシェルとライゼアを退ける。その後、ベッドから下り肌蹴ている服を直した。
 その間、真生の脳裏に【いい思いができて幸せですね】と浮かんでいる。
 それに気づき真生は、ムッとした。

 悲鳴を聞きつけ部屋に入って来たダランカルは目尻付近に努筋を浮かべている。

 「ライゼル! ナシェル! お前ら……なんて格好していやがるうぅぅー!?」

 余りにもみていられなくなりダランカルは顔を赤くし手で目を覆った。

 「二人が何をしたか、だいたい予想がつく。だが弁明は、あとだ! 今は服を着て、サッサと部屋から出てけっ!!」

 そう言われライゼアとナシェルはダランカルをみたあと真生へ視線を向ける。
 真生の顔は、ピクピクと引きつっていた。

 「マオウ様……アタシは只、横で寝ていただけですう」

 服を着ながらライゼアは今にも泣きそうである。

 「残念なのじゃ。もう少しで……」

 悪ぶることなくナシェルはそう言いながら服を着ていた。

 「なんなんだ? それに、お前は?」

 ナシェルのことが分からず真生は問いかける。

 「魔王さま……ウチは、ナシェル・コンキ。よろしくですのじゃ」
 「ああ、俺は真……魔王マオウだ。よろしくなって……なんで俺の上に?」
 「魔王さま……そのことは、あとで話し合った方がいいんじゃねえかと。それよりも今は体を休めた方が」

 見た目よりもダランカルは優しいようで真生のことを心の底から気遣っていた。

 「いや……もう心配ない。少し仮眠したお陰で疲れは取れた。それよりも、この状況を知りたいんだが」
 「それならば安心だ。それなら座って話をした方がいい」

 それを聞き真生は、コクッと頷きテーブルのある方へ向かう。
 そのあとをライゼアとダランカルとナシェルが追いかける。

 テーブルまでくると真生は椅子に座った。
 真生が座ったことを確認すると三人は椅子に腰かける。

 「それで……ライゼアは、なんとなく分かる。だが、なんでナシェルが部屋に居て俺の上に?」
 「申し訳ねえ。ナシェルを部屋に入れたのはオレです。魔王さまを、みたいって言ったもんで。みるだけなら問題ないと」
 「そういう事か。それでナシェル。みるだけだったはずが……どうして、ああなった?」

 そう問われ恥ずかしくなりナシェルは、モジモジし始めた。

 「ライゼアに……魔王さまを……取られたくないと……思って……しまったのじゃ」
 「……なるほど、そういう理由でか。そもそも俺は物じゃない。取るか否か、そんなことされても困るんだが」

 そう言われナシェルは「ごめんなさい……」と謝り泣き出しそうである。

 「アタシも……ごめんなさい。あんなに駄目って言われてたのに……」
 「ライゼア、我慢してたんだろ? キスも噛みつきもな。あの様子をみた限り添い寝だけだった……違うか? まあ裸になっていたのはよくないがな」
 「嬉しきお言葉……はい! 勿論、添い寝だけのつもりでしたが何時の間にか脱いでいて」

 真生はそれを聞き、なんでそうなるんだと思い溜息をついた。

 「それでライゼアとナシェルの処遇は、どうするんです?」
 「ダランカル……そうだな。ナシェルも悪気がなかったようだし反省するなら罰は与えないつもりだ」

 そう言われナシェルは目を輝かせ喜んだ。

 「ありがたき、お言葉。ウチは一生涯、魔王さまに忠誠を誓いたいと。そして何かの役に立てればと思っておるのじゃ」
 「ナシェル、そう思ってくれて嬉しい。これから魔王として覚醒するためには色々と学ばないといけないんだ。そのためには一人でも多い方が助かる」
 「分かりました。ウチに何ができるか分かりません。ですが魔王さまの力になりたいと思いますのじゃ」

 真剣な顔でナシェルは真生をみつめる。
 それを聞き真生は、コクッと頷いた。
 その後も四人は暫く話し合いをする。
 そして話し合いが終えると真生たち四人は寝室を出て書斎に向かった。