その後も、最終メンバー全員で踊るポップなダンスナンバーや、歌声を披露するバラードなど様々な種類の楽曲が披露された。

 先輩は曲に合わせて、七変化して色んな顔を見せてくれた。先輩の明るい顔、大人びた顔、少し闇を感じる顔。
 メロディや、歌詞に乗せた胸に迫るダンス。
 もはや完全にプロのオーラを纏っていた。誰がどう見ても、アイドルと口を揃えているクオリティ。
 俺と離れている間に、どれだけの努力をしてここまできたんだろうと思うと、胸が熱くなる。
 時折、目が合って俺に向けて踊ってくれているような気がしたのは……気のせいだと思おう。落ち着かないから。

 「リクーー! 大好きー!!」

 「リクーー! こっち向いてぇ!!」

 楽曲の合間に、飛び交う先輩への歓声。
 女の人たちがたくさん、先輩のうちわを持ち、うっとりと目を輝かせて、恋するような顔で先輩を見つめていた。
 これからこうやってどんどん女の子を魅了していくのだと思うと、胸がズキズキと痛む。

 (アイドルになった後の先輩に出会えていたら、俺も推しとして楽しめたのかな)

 俺はまだ、ここにいる会場の人が知らない先輩を知ってるから、独り占めしたくなるんだ。
 肩に頭をのせたときに、優しく起こしてくれる表情とか。
 ダンスを教えてくれるときの厳しい表情とか。
 大好きっていったときの、少し照れた表情とか。

 (やっぱり、全部独り占めしたいよ。先輩)

 この黒い感情から、俺は逃げないって決めた。
 好きなんだ、ひとりの男の人として先輩のことが。
 先輩がデビューしたら、すごくすごく遠い存在になってしまうのは分かってるから。
 その前にね、少しだけワガママにならせてください、先輩。
 俺の気持ち全部、伝えさせてください。
 思い切り振られてもいいから、だた先輩に好きって伝えたい。

<では……得点の集計が出そろいました! ついに、デビューメンバーの発表です!!>